私は、ふるさと納税の返礼品を『物』ではなく『仕事』として見ています。
刃物なら、その鍛冶職人が何年修行を積んだのか。漆器なら、下地から塗りまで何度手を重ねるのか。織物なら、一反の布が織り上がるまでに何日かかるのか。そうした時間と手の痕跡を追うことが、私の編集の出発点です。
返礼品として届く品物の背後には、必ず人がいます。その人が何を大切にして仕事をしているのか、その仕事がどれだけの年月をかけて磨かれてきたのか——そこを知らずに品物だけを紹介することはできません。
私が町を訪ねるときも、まず作り手に会います。工房や工場で、実際の手仕事を見て、話を聞く。そうすることで初めて、その返礼品がなぜその町にあるのか、なぜその形なのかが理解できます。小規模な醸造所の杜氏が、毎年同じ仕込みを繰り返す理由。刃物職人が、一本の包丁に何時間も向き合う理由。そうした『なぜ』を言葉にすることが、私の仕事だと考えています。
ふるさと納税は、寄付という形で町と人をつなぐ仕組みです。その接点に、作り手の顔と仕事の意味を置きたい。工芸品や加工品、小規模な生産者の品々を推すのは、そこに『続いてきた時間』と『選んだ人の決断』が最も明確に見えるからです。
私は序列をつけません。どの町の、どの作り手の仕事も、その人たちが選んだ道です。大切なのは、その選択と手仕事の意味を、丁寧に伝えることだけです。