大宮台地の地下水が、ビールになるまで
さいたま市は海に面さない内陸の政令指定都市だ。関東平野の中央に位置し、市の中央部を大宮台地が貫いている。この台地は関東ローム層で形成され、地下には良質な水が流れている。私はこの地形を見ると、ビール醸造に必要な水の存在を思わずにいられない。
氷川の杜シリーズは、この土地の水を活かして醸されたクラフトビールだ。氷川ブリュワリーという小規模な醸造所が、大宮台地の地下水を仕込み水として使い、複数の銘柄を手がけている。ビール醸造は水が命である。硬度、pH、ミネラル分のバランスが、仕上がりの香りと味わいを左右する。この地の水質が、どのような個性を持つビールを生み出すのか——それを知ることは、さいたま市という土地を飲むことに他ならない。

4本セットで届く複数の銘柄を、季節の晩酌に並べてみてほしい。冷えた夜には濃厚な琥珀色を、初夏には爽やかなペールエールを。同じ土地の水から生まれた兄弟たちの違いを、グラスの中で比べる時間は、この町の地層を知る時間でもある。
東京に最も近い、しかし独立した水脈
さいたま市は東京都心から北西に約25キロメートルの距離にあり、県庁所在地の中で東京に最も近い。だが地理的な近さは、水脈の独立性を奪わない。市の西側には荒川が、東寄りには元荒川が流れ、市の中央部を大宮台地が貫く。この地形が、独自の地下水系を守ってきた。
小規模な醸造所が、こうした地の利を活かして営まれることは珍しくない。大都市圏の周辺部だからこそ、水と土地の個性を生かした手仕事が息づく余地がある。氷川ブリュワリーのビールは、そうした営みの一つだ。寄付を通じて、この返礼品が家に届く時、あなたは単なる飲料を受け取るのではなく、さいたま市という土地の地下水が、人の手によって別の形に変わったものを迎え入れることになる。
