山の中で、なぜビールなのか
上勝町は人口1300人。徳島市の南西40km、勝浦川沿いの山岳地帯だ。県内で最も人口が少ない町である。しかし、この町の名は世界に知られている。2003年のゼロ・ウェイスト宣言——ゴミを45種類に分別し、町民が自ら処分場へ持ち込む仕組みを作った——その実践が、今も多くの大学や企業、自治体から視察を呼ぶ。
私がこの町を見ると、「小さいから何もできない」という諦めを、逆転させた場所だと思う。葉っぱビジネス「いろどり」も、棚田オーナー制度も、I/Uターン者の増加も、すべては「小さいからこそ、全員で動く」という覚悟から生まれた。
そこへ、クラフトビールが現れた。KAMIKATZビールは、RISE&WIN Brewing という事業体が醸している。この企業は、ゼロ・ウェイスト活動を支える「上勝百貨店」の後身だ。つまり、町の循環経済の思想そのものが、ビール樽に詰まっている。
晩酌の時間が、町の営みと繋がる
山の町で、なぜビール。その答えは、飲む側の手元にある。
ブリュワーズセレクト 4本が届く。グラスとコースターも一緒だ。夜、仕事を終えた手が、そのグラスを握る。上勝町の水で仕込まれたビールが、喉を通る。その一杯は、単なる晩酌ではない。人口1300人の町が、ゼロ・ウェイスト宣言を守りながら、何かを作り続けている——その営みへの参加券なのだ。
町内には鉄道がない。県道は1本だけ。隔絶された山の中で、町民たちは毎日、ゴミを分別し、棚田を守り、葉っぱを摘み、ビールを仕込む。その手仕事の積み重ねが、寄付という形で、あなたの食卓に届く。
Morning Summerという季節限定のビールもある。夏の朝、冷えたそれを飲む時間は、上勝町の四季を、自分の身体で感じることになる。
棚田米と負けん気でこっしゃえた米焼酎も、同じ思想で作られている。上勝の棚田で育った米が、焼酎になり、あなたの盃に注がれる。「負けん気」という言葉が、職人の顔を浮かばせる。

小さな町の、大きな選択
上勝町は、日本で唯一、「日本で最も美しい村」連合に加盟する徳島県の自治体だ。その美しさは、観光地としての装飾ではなく、町民たちが毎日、循環と向き合う中で生まれた、生活の美学である。
ビールを飲むことは、その美学に投票することだ。寄付という形で、人口1300人の町が、ゼロ・ウェイスト宣言を守り続けるための、一杯の応援になる。
