名水百選の地で、酒が生まれる
西条市を訪れたことはなくても、その土地の本質は一つの言葉で伝わることがある。「水の都」—それが西条だ。
石鎚山の麓に位置するこの町は、豊富な地下水に恵まれている。「うちぬき」と呼ばれる自噴水は、1985年に環境庁の名水百選に選ばれた。雪解け水が地層を通して湧き出す、その清冽さが、この町の産業と暮らしを支えてきた。農業が盛んなのも、工業が発展したのも、すべてはこの水があったからだ。
私がこの町の返礼品を見るとき、最初に目に留まるのは酒である。名水百選の湧き水で仕込む純米吟醸「うちぬき」は、西条という土地そのものを瓶に詰めたものだ。石鎚酒造が仕込むこの酒は、町の名水を直接の素材にしている。1800mlの瓶を手にしたとき、あなたが握っているのは単なる酒ではなく、石鎚山から流れ出た水の時間であり、その水を信じて仕事を続けてきた造り手の選択である。

晩酌の盃に注ぐとき、その透明さと、ほのかな米の香りが、瀬戸内海式気候の晴れた日々と、山からの冷たい風を思わせる。冬の夜、熱燗にしても、夏の夜、冷やしても、この酒は西条の水の性質を失わない。
米も、同じ水で育つ
西条の返礼品の中で、酒と並んで欠かせないのが米である。愛媛県推奨米「ひめの凜」は、この町の地下水で育てられた稲の実だ。選べる容量は5kg、10kg、27kg、30kgと幅広い。家族の食卓に合わせて、あるいは備蓄として、この米を選ぶことは、西条の農業を支えることでもある。

米と酒—同じ水源から生まれた二つの産物が、一つの食卓に揃うことの意味を考えてみてほしい。朝、この米で炊いたご飯を食べ、夜、この水で仕込んだ酒を飲む。それは西条という町の営みを、自分の家の中に引き込むことなのだ。
工業の町が、今も続く理由
西条は「水の都」であると同時に、四国でも有数の工業出荷額を誇る製造業の町でもある。1960年代から70年代にかけて、積水化学、住友金属鉱山、住友重機械工業、三菱電機など、大手メーカーが次々と進出した。その背景にあったのも、やはり豊富で良質な水である。
こうした産業基盤の上に、西条は2018年から移住政策に力を入れ、宝島社の「住みたい田舎ベストランキング」で若者世代部門の3連覇を達成した。古い産業遺産と、新しい農業の試みが共存する町として、西条は今も変わり続けている。
返礼品を通じて、あなたが受け取るのは、単なる商品ではなく、この町が水とともに歩んできた時間の一部である。クラフトビールのような新しい試みも、同じ水を基盤にしている。地元の海苔と組み合わせたセットは、瀬戸内海に面した西条の、もう一つの顔を示している。
石鎚山の雪が解け、地層を通して湧き出す水。その清冽さが、酒になり、米になり、ビールになる。西条への寄付は、その循環を支えることなのだ。
