大隅半島の東、畜産の町
大崎町は鹿児島県の大隅半島東部に位置する、人口1万2千余りの小さな町だ。志布志湾に面した地形は、古くから農畜産の適地だったのだろう。2022年の農業産出額は384億円を超え、県内でも有数の産地である。特に畜産は332億円で県3位。豚は142億円で県2位、ブロイラーは157億円で県1位という数字が、この町の産業の骨格を物語っている。
私がこの町を見るとき、単なる「農業県」の一角ではなく、動物を育てる手仕事が日常的に行われている場所として捉えたい。飼料の配合、舎の管理、出荷のタイミング——それらは統計には表れない、毎日の判断と経験の積み重ねだ。
鳥刺しに、その仕事の痕跡を見る
鳥刺しは、この町の畜産を最も直接的に食卓に届ける返礼品だ。ブロイラーの胸肉とモモ肉を、生のまま薄く切ったもの。寄付額に応じて100グラムから1キログラムまで選べる。

鳥刺しは、鮮度と肉質の両方を問う料理である。育てられた鶏がどのような飼料を食べ、どのような環境で育ったかが、そのまま味に反映される。大崎町のブロイラーは、県内でも有数の規模で飼育されている。その肉を刺身で食べるということは、育てた者たちの仕事に直に向き合うことでもある。
届いた鳥刺しを、冷えた皿に盛る。わさび醤油で食べるのが定番だが、ポン酢でも良い。肉の甘みが引き出される。晩酌の一品として、あるいは夏の食卓で、この町の畜産の現場を思いながら食べることになる。
焼酎に、地の仕事の時間を重ねる
大崎町の返礼品には、焼酎も複数ある。大岬は町内産の芋焼酎。天星の梅酒「紡ぐ」は町内産の無農薬南高梅を仕込んだもの。けせんとはるかは香り系焼酎の新作だ。

焼酎もまた、仕込みの仕事である。芋を蒸し、麹を合わせ、仕込み水を選び、温度を管理しながら発酵させる。梅酒なら、梅の選別から漬け込み、熟成の期間まで、年単位の時間が必要だ。その過程で、作り手の判断が何度も入る。
晩酌の時間に、こうした焼酎を傾けることは、この町の農産物を育てる人、仕込む人の手仕事を、静かに受け取ることだ。鳥刺しと焼酎を合わせれば、大崎町の産業と食卓の関係がより明確に見える。
他の返礼品の選び方
町の産業が畜産と農業に偏っているため、返礼品も肉と農産物が中心だ。完熟マンゴーは、町内で栽培される果実。夏の盛りに届く3~4玉は、そのまま食べるのが最良だ。冷やして、皮を剥いて、その甘さを味わう。これもまた、育てた者の手仕事の結果である。
干物や鰻も返礼品に含まれるが、これらは町内産というより、地域の流通の中で選ばれた品だろう。鳥刺しと焼酎、そしてマンゴーを軸に選ぶことで、大崎町という場所の顔がより鮮明に見えてくる。