山と川に囲まれた焼酎の町
豊後大野市は大分県の南部、祖母山と傾山に抱かれた盆地の町だ。私がこの町を見るとき、まず思うのは地形である。九州山地の懐にあり、大野川が流れ、夏は猛暑、冬は比較的温暖という気候。こうした風土が、焼酎という仕事を育ててきた。
返礼品の顔は、やはり焼酎だ。この町には複数の蔵元が今も仕込みを続けている。その一つが牟禮鶴酒造である。牟禮鶴の飲み比べセットは、壱越・黄鐘・聞という三種を各300ml、合わせて900ml。蔵元が選んだ三本を一度に味わう構成だ。

焼酎の仕事は、原料と水と時間の対話である。この町で使われる大麦——特にトヨノホシという品種——は、地元で育てられたものが多い。それを蒸し、麹を引き、仕込み、発酵させ、蒸留する。その過程は数週間から数ヶ月に及ぶ。蔵元が「飲み比べセット」として三本を選ぶとき、そこには自分たちの仕事の幅を知ってもらいたいという意図がある。壱越は香りの立ち方、黄鐘は味わいの厚み、聞はまた別の個性。一つの蔵の中に、複数の仕事がある。
晩酌の時間に、この三本を順に開ける。最初の一杯は壱越で、香りを感じる。二日目は黄鐘で、食事と合わせる。三日目は聞で、その日の気分で。こうして一週間かけて飲み進めることで、蔵元の手仕事の違いが、自分の舌に刻まれていく。
他の焼酎、そして肉と菓子
蔵元が選ぶおまかせ焼酎も、この町の焼酎文化を体現している。蔵元自身が「今、飲んでほしい」と判断した一本が届く。それは季節によって、仕込みの進み具合によって変わる。返礼品として「おまかせ」という形を取ることで、蔵元と受け取り手の間に、時間の共有が生まれる。


焼酎と並んで、この町の食卓を支えるのが肉である。豊後牛の赤身角切は、もも肉を角切りにしたもの。550gという量は、家族四人の夕食に、煮込みか炒め物で使い切る分量だ。赤身は脂が少なく、焼酎の後の食事に合わせやすい。冷蔵で届くため、購入後すぐに調理できる。
甘いものが欲しい時には、手づくりジェラートがある。抹茶、ブルーベリー、ラムレーズン、チョコチップ——四種類が10個、100mlカップで届く。夏の盆地の暑さの中で、冷たいジェラートは季節の手当てになる。
返礼品を選ぶ視点
この町の返礼品を選ぶ時、私は「その品の背後に、どれだけの時間と手仕事があるか」を問う。焼酎は数週間から数ヶ月の仕込み。牛肉は、育成に数年の時間を要する。ジェラートも、毎日の仕込みの積み重ねだ。
高額な宿泊券や旅行クーポンも返礼品にはあるが、この町の本質は、そこにはない。本質は、山麓の盆地で、今も仕込みを続ける蔵元の手、牧場で育つ牛、毎日の台所の仕事にある。その仕事が、返礼品として家に届く時、寄付という行為は単なる金銭の移動ではなく、その町の営みへの参加になる。