私は、ふるさと納税の返礼品を『家に届いたあと、どう食卓に着地するか』という視点で見ています。
雑誌や書籍の編集を通じて、地域の食べ手たちの台所を訪ねてきました。そこで気づいたのは、返礼品の価値は『何か』ではなく『どう使うか』の中にあるということです。たとえば、ある地域の梅干しを受け取った読者から「毎朝、白いご飯に一粒。夏場の弁当に欠かせない」という声をもらったり、旬の野菜セットについて「冷蔵庫の余裕を考えると、週1回の配送ペースがちょうどいい」という相談を受けたり。そうした現実の使い方を知ると、返礼品の選び方が変わります。
私が返礼品を選ぶときに見ているのは、その食材がどの季節に、どのくらいの期間、どんな手間をかけて作られているか、という『産地としての厚み』です。同時に、受け取った人がそれを保存し、調理し、食べ切るまでの流れを想像します。冷凍庫の容量、調理時間、家族の人数、季節ごとの食べ方の変化——そうした台所の現実を無視した推薦は、結局、誰の役にも立ちません。
また、私は『この町ではこう食べられてきた』という食べ方の歴史を大切にしています。返礼品は、その土地の食文化を家に運ぶものだからです。だから、出荷期や品種の背景、加工の手間、季節ごとの使い分けといった情報を、食べ方の提案とセットで書くようにしています。
編集の現場では、事業者さんの工夫や苦労を直接聞く機会も多いです。その話を聞くと、返礼品は『商品』ではなく『その人たちの手仕事』なんだと改めて感じます。だからこそ、どの返礼品も、どの町も、その価値を丁寧に伝えたいと思っています。
読者の台所を想像しながら、季節の手当てと食べ方から、返礼品の本当の価値を問う——それが、私の編集の姿勢です。