北海道の東端、広大な丘陵地帯に広がる酪農の町
別海町は北海道の東端、根室振興局の野付郡にある。面積は「町」としては日本で3番目に広く、その大半が起伏のゆるやかな丘陵地帯だ。私がこの町を見るとき、まず思うのは「スケール」である。町域ほぼ全般に牧場が広がり、人口1万5千人弱に対して約11万3千頭の牛が飼育されている。つまり、この町では牛が人間の8倍近く暮らしているということだ。
開拓の歴史も独特だ。明治30年代から内陸部への入植が始まったが、本格的な酪農への転換は昭和に入ってから。1956年から世界銀行の融資を受け、根釧パイロットファーム方式という機械による大規模開拓が導入され、1973年には新酪農村の建設に着手した。つまり、現在の広大な酪農地帯は、戦後の計画的な開発によって形作られた、比較的新しい風景なのだ。
生乳生産量は全国一位。年間43万トンという数字は、この町の産業がいかに酪農に特化しているかを物語っている。その一方で、沿岸部の本別海や尾岱沼ではサケ、コマイ、ホッキ、アサリ、ホタテ、ホッカイエビなど多様な漁業が営まれている。広大な平野と、野付水道を挟んで北方領土を望む沿岸部。この二つの風土が、別海町の返礼品の顔を決めている。
別海牛、赤身の旨さを引き出す食べ方
別海牛の赤身スライスは、この町の酪農を代表する返礼品だ。モモやウデの赤身を薄くスライスしたもので、すき焼きや鍋の具として届く。

別海の牛肉の特徴は、広大な牧場で育つことから来る。寒冷地の大陸性気候、冬は-25℃前後に達する厳しさ。そうした環境で、牛たちは時間をかけて育つ。赤身が引き締まり、脂肪と赤身のバランスが自然と整う。スライス肉は、その赤身の旨さを最も素直に引き出す食べ方だ。
家に届いたら、冷凍のまま保存しておく。食べる前夜に冷蔵室に移し、ゆっくり解凍する。すき焼きの鍋に割り下を張り、白菜や豆腐、ネギを並べ、最後に肉を入れる。赤身は火が通りやすいから、さっと火を通すだけで十分だ。肉の表面が色づいたら、卵にくぐらせて食べる。冬の夜、家族で囲む鍋の中で、別海の風土が一皿になる。
秋鮭とホタテ、野付の海の季節感
沿岸部の漁業も、返礼品の重要な柱だ。北海道産の秋鮭カマは、秋の野付の海を代表する。カマは鮭の頭部の部位で、脂が乗り、骨の周りの身が特に旨い。塩漬けか無塩か選べるのは、家の食べ方に合わせるためだ。

塩漬けなら、軽く水で塩を落とし、グリルで焼くだけ。無塩なら、自分で塩加減を調整できる。どちらにせよ、秋鮭の身の甘さと、カマの骨周りの濃い旨さが引き出される。冬の朝食の定番として、何度も食卓に上る。
ホタテも、野付の海の季節を象徴する。発送月が選べるのは、この町の漁業が季節に沿っているからだ。ホタテは刺身で食べるのが最も素直だが、バター焼きにしても、味噌汁に入れても、その甘さと香りは変わらない。冷凍で届くから、食べたい時期に解凍して使える。
返礼品を選ぶ視点
別海町の返礼品は、酪農と漁業という二つの産業を軸に構成されている。牛肉は、広大な牧場で育つ牛の赤身の旨さを素直に引き出した形で届く。秋鮭やホタテは、野付の海の季節感を保ったまま、家の食卓に着地する。
高額な旅行クーポンや時計も返礼品にはあるが、この町を知りたいなら、食べ物を選ぶべきだ。別海牛の赤身、秋鮭のカマ、野付のホタテ。それらを家で調理し、食べることで初めて、この町の風土が見える。寒冷地の牧場、秋の沿岸漁業、そして家族で囲む食卓。別海町への寄付は、そうした風景を家に招くことなのだ。