南北に貫く地形が、季節の豊かさを運ぶ
三豊市は香川県の西部で、瀬戸内海に面した北から讃岐山脈の南まで、市域が南北に縦断している。紫雲出山や妙見山を頂く荘内半島が北西に突き出し、中部には三豊平野が広がり、南部は財田川流域の山越え地帯だ。この地形の多様性が、同じ市内でも季節ごとに異なる産物をもたらす。
北の沿岸部は古くから製塩業で栄え、江戸時代には仁尾で茶や搾油、醸造品の大きな店が数多くあった。現在も高瀬茶は香川県最大の産地として知られている。一方、中部から南部にかけての平野と山麓では、ぶどう、ミカン、モモなど「フルーツ王国みとよ」をキャッチフレーズに、農産物のブランド化が進んでいる。瀬戸内海式気候の温暖さと、この起伏に富んだ地形が、年間を通じて多彩な果実を育てる条件になっている。
ロゼピオーネ、秋の食卓に届く粒の密度
ロゼピオーネは、三豊市が誇るぶどうの一種だ。ニューピオーネという品種の赤系統で、大粒で種がなく、濃厚な甘さが特徴とされている。秋口、箱を開けると房ごとの重みが手に伝わる。粒の表面には白い粉がうっすら付いており、これは果実が自ら作る保護膜だ。

食べ方は単純だ。冷蔵庫で冷やし、房から粒をもぎ取り、口に入れる。皮は薄く、歯を立てるとすぐに破れ、果汁が流れ出す。種がないので、そのまま飲み込める。家族で食卓を囲むとき、一房をボウルに盛り、各自が好きなだけ手に取る。子どもも大人も、粒の大きさと甘さに驚く。秋の夜長、テレビを見ながら食べるのに、これ以上ない。
三豊の果樹農家は、この粒の密度と色合いを整えるために、開花期から収穫まで細かな手入れを重ねている。房の中で粒が重ならないよう間引き、日光が均等に当たるよう葉を整理する。その手間が、食卓に届く時点での満足度に直結する。ロゼピオーネは、三豊の農業が「量」ではなく「一粒の質」に向き合っている証だ。
オリーブ牛、晩酌の肴から家族の食卓へ
三豊市で育つもう一つの顔が、オリーブ牛だ。讃岐牛の一種で、オレイン酸が豊富な飼料を与えられた黒毛和牛である。切り落とし肉は、すき焼きやしゃぶしゃぶに向く。

冬の夜、土鍋を卓上に置き、割り下を温める。肉を薄くスライスしたものを、箸でつまんで湯に通す。オリーブ牛の脂は融点が低く、さっと火が通ると、口の中で溶ける。甘辛い割り下と、肉の旨味が一体になる。白菜や豆腐、ねぎと一緒に食べると、肉の脂が野菜の甘さを引き立てる。
この牛肉が三豊で育つ理由は、地形と気候にある。讃岐山脈の南麓から中部平野にかけて、良質な牧草地が広がり、温暖な瀬戸内海式気候が、牛の飼育に適している。農業と畜産が共存する風土が、オリーブ牛という一つのブランドを生み出した。
旬の詰め合わせで、季節を食べ分ける
三豊の返礼品の中には、旬の果物詰め合わせも用意されている。いちご、みかん、桃、ぶどう、マスカット、柿、キウイ、ビワなど、季節ごとに異なる果実が組み合わされる。
こうした詰め合わせは、一つの品種を深く知るのではなく、三豊という土地全体の「果実の多様性」を家庭に届ける。春から冬まで、何度か申し込むことで、その季節に三豊で何が旬を迎えているのかが、食卓を通じて分かる。子どもにとっても、季節感を学ぶ手段になる。
返礼品を選ぶ視点
三豊市の返礼品は、大きく三つの柱に分かれている。一つは、ロゼピオーネやニューピオーネといった「ぶどう」。二つ目は、オリーブ牛などの「牛肉」。三つ目は、旅行クーポンなどの「体験・宿泊」だ。
ぶどうを選ぶなら、秋口の申し込みが目安になる。オリーブ牛は通年で手に入るが、すき焼きやしゃぶしゃぶの季節である冬に申し込むと、届いてすぐに食卓に上げられる。詰め合わせは、その時々の旬を知りたい人向けだ。
三豊市への寄付は、返礼品を通じて、この町の「地形が生む季節の豊かさ」を家庭に招くことになる。北の沿岸から南の山麓まで、多様な風土が育む産物を、食卓で味わう。それが、三豊市との関係の始まりだ。
