盆地と山地が織りなす、水と食の風土
朝倉市は福岡県の中南部、筑後地域に位置する町だ。市域を北西から南東へ貫く国道386号を境に、南側は盆地、北側は古処山をはじめとする600~900メートル級の山々が連なる。この地形が、朝倉の食卓を決めている。
山地には寺内ダム・江川ダムがあり、福岡県両筑地域の水資源を担う。盆地の南側には筑後川が流れ、かつて何度も氾濫を繰り返してきた。1953年の西日本水害、そして2017年の九州北部豪雨では、市内で34人が亡くなり、多くの家屋が浸水した。この土地は、水と向き合い、水に育てられてきた場所なのだ。
江戸時代、秋月藩の城下町として栄えた秋月地区は「筑前の小京都」と呼ばれ、今も重要伝統的建造物群保存地区として残る。黒田氏による統治の時代から、この盆地は農業と水運の中心地だった。朝倉の水車(三連水車・二連水車)は、その歴史を今も物語っている。
現在、朝倉市はキリンビール福岡工場やマルヱ醤油の朝倉工場を抱え、食品製造の一大拠点となっている。だが本来の顔は、農業と地場産業の町。筑前あさくら農業協同組合が中心となり、季節ごとに果実や野菜を送り出す。
樫樽で十年、焼酎の時間が刻まれる
朝倉市に本社を置く篠崎は、日本酒と焼酎の製造・販売を手がける蔵元だ。樫樽長期貯蔵の麦焼酎は、モンドセレクション金賞を受賞した逸品である。

焼酎とは、この土地の時間そのものだと私は考える。樫樽に仕込まれた麦焼酎は、年月をかけて色が深まり、香りが熟成される。届いた瓶を手にすれば、その重さと色合いから、すでに時間の積み重ねが感じられる。
晩酌の時間、ロックで飲めば樫の香りが立ち上る。水割りにすれば、朝倉の水——山々から流れ出た清冽な水——が焼酎と出会い、また別の表情を見せる。冬の夜、湯呑みに注いで温めて飲むのも良い。焼酎は季節を選ばず、その時々の飲み方で家の食卓に溶け込む。
篠崎という蔵が朝倉に根を張り、この盆地の水を使い、年月をかけて焼酎を仕込む。その営みが、返礼品として家に届く。焼酎を飲むことは、朝倉の時間を自分の時間に重ねることなのだ。
季節の果実と、明太子の塩辛さ
春から夏にかけて、朝倉からはいちご あまおうが届く。福岡産の苺は、甘さと酸味のバランスが特徴だ。届いたパックを開けば、その日のうちに食べるのが作法。冷蔵庫で冷やし、朝食のテーブルに置く。子どもたちが手を伸ばす。

夏には桃が届く。3.8キログラムという量は、一人では食べきれない。家族で、隣近所で分け合う量だ。桃は日持ちがしないから、届いたら毎日が桃の季節になる。朝、昼、晩と、食べ方を変える。そのうち、桃の香りが台所に満ちる。
一方、辛子明太子は、季節を選ばない。白いご飯の上に乗せれば、その塩辛さと、プチプチとした食感が、ご飯を進ませる。おにぎりの具にもなり、酒の肴にもなる。朝倉の食卓では、明太子は常備菜に近い存在だ。博多の食文化を代表する明太子が、朝倉経由で家に届く。それは、この町が福岡都市圏と筑後地域の両方に属する、その地理的な立場を象徴している。
返礼品を選ぶ、という営み
朝倉市の返礼品は、焼酎と明太子、そして季節の果実に集約される。これらは、この町の産業と風土を最も直接的に表現している。
キリンビール福岡工場産の淡麗 グリーンラベルや一番搾りも、朝倉で製造される。ビールは、毎日の晩酌の相棒だ。工場見学も可能な施設だから、返礼品を受け取った後、実際に足を運んでみるのも良い。
焼酎を選ぶなら、樫樽長期貯蔵のものを。明太子を選ぶなら、1キログラムの大容量を。果実は、季節に応じて。朝倉市への寄付は、この町の食卓を自分の食卓に招き入れることだ。返礼品は、単なる商品ではなく、朝倉という場所との関係を結ぶ媒体なのである。
