蔵王連峰の麓、盆地が育てる梨
上山市は山形県の南東部、蔵王連峰の西麓に位置する。市街地の東側は平らな土地が広がり、その先に蔵王や三吉山が聳える。西側は傾斜地が多く、虚空蔵山や西山といった里山が重なる。この地形が、昼夜の寒暖差を生む。夏の昼間は暑くなるが、夜は気温が下がり、熱帯夜になることは少ない。こうした気候が、梨の糖度を高める。
上山は江戸時代、上山藩の城下町であり、羽州街道の宿場町として栄えた。城下町・宿場町・温泉街の三つを同時に兼ね備えた都市は全国的にも珍しいとされている。現在も上山城は小高い丘に立地し、市街地の中心となっている。この町の歴史と地形が、農業の営みを支えてきた。
市域の70%が森林で、農地は9%に過ぎない。限られた耕地の中で、上山の農家は梨を育ててきた。特にラ・フランスは、この町の秋を代表する果実だ。
秋の食卓に、梨の季節感を
ラ・フランス3kgは、家庭用として届く。3kgというのは、一家族が秋から初冬にかけて、毎日の食卓に梨を置く量だ。

梨は、届いた直後は硬い。冷蔵庫の野菜室に入れておくと、数日で食べ頃になる。その頃合いを見計らって、家族分を切り分ける。ラ・フランスは芯が小さく、皮も薄いので、包丁を入れやすい。切った断面は、淡い黄色。盛り付けると、秋の色が食卓に映る。
食べるのは、夜の食後が多くなる。昼間の暑さで疲れた体に、梨の冷たさと甘さが沁みる。蔵王の麓で育った梨は、水分が多く、甘みが深い。種類によっては、香りが強いものもある。上山の梨は、その土地の気候を食べることになる。
3kgあれば、家族で毎日一個ずつ食べても、10日以上は持つ。秋が深まるにつれ、梨の季節は終わっていく。その間、毎日が梨の日になる。
米と梨、上山の農業の二本柱
返礼品の顔ぶれを見ると、梨と米が中心だ。つや姫やはえぬきといった山形の主力品種が揃っている。

米は、春から秋にかけて、田んぼが市街地の周辺に広がる。梨は、秋から初冬の季節商品だ。この町の農業は、季節ごとに異なる作物を育てることで、年間を通じた営みを成り立たせている。
梨の樹は、樹齢が長い。一度植えると、数十年は同じ樹から実を採る。その間、農家は毎年、剪定や摘果といった手間をかける。蔵王の麓の限られた耕地で、こうした手間をかけて育てられた梨が、家に届く。
温泉と城跡に囲まれた町の、秋の味
上山温泉は、長禄2年(1458年)に僧「月秀上人」が発見したとされている。その後、奥羽三楽郷の一つとして栄えた。現在も、温泉街は市街地の中心にあり、観光客が訪れる。
しかし、この町の本当の顔は、温泉だけではない。城下町としての歴史、宿場町としての営み、そして農業の営みが、層をなして存在している。梨は、その農業の営みの中で、最も季節感を持つ産物だ。
秋に上山を訪れれば、温泉に浸かり、城跡を歩き、梨を食べる。その三つが、この町の秋を形作っている。返礼品として梨を受け取ることは、その町の秋を、家の食卓に招くことになる。