薩摩半島の南端、温泉と海が交わる町
指宿は鹿児島市から南へ約50km、薩摩半島の南東端に位置する。市域の中央に池田湖があり、東シナ海と鹿児島湾に面した海岸線が市街地を形作っている。開聞岳が南西部に聳え、その麓から海へ向かう地形は、古来より「湯豊宿」と呼ばれた温泉地としての条件を整えてきた。
私がこの町を見るとき、まず思うのは「湯量の豊かさ」だ。市内どこでも1m掘ればお湯が湧き出るという言い伝えは、単なる観光文句ではなく、地下の熱源がいかに身近かを物語っている。海岸には温泉が流れ出る場所さえある。こうした地熱の恵みが、町の産業と食卓の両方を支えてきた。同時に、東シナ海と鹿児島湾に囲まれた地形は、豊かな漁場をもたらす。指宿の食卓は、この「温泉と海」の二つの資源の上に成り立っている。
芋焼酎が映す、薩摩の土と水
指宿酒造の赤利右衛門は、この町の芋焼酎文化を代表する一本だ。鹿児島県産の芋を黒麹・白麹で仕込み、地下水で仕込まれる。指宿の地下水は、温泉と同じ源から湧く。つまり、この焼酎に含まれる水は、町の地熱と地層を通してきた水そのものである。

芋焼酎は、薩摩の農業と蒸留技術が生んだ産物だ。江戸時代、前田利右衛門がサツマイモを普及させた土地柄を受け継ぎ、指宿の農家は今も芋を育てている。その芋が、町の複数の蔵で焼酎に変わる。赤利右衛門は、黒麹と白麹を使い分けることで、深みと爽やかさを両立させた仕上がりになっている。
晩酌の時間、ロックで飲めば、芋の甘さと焼酎特有の香りが立ち上る。水割りにすれば、指宿の地下水が焼酎を開き、より飲みやすくなる。冬の夜、湯呑みに注いで温めて飲むのも良い。この焼酎は、町の温泉文化と農業の両方を、一本の瓶に詰めたものだと言える。
漁港から食卓へ、朝獲れの海鮮丼
指宿の海は、マグロと鯛の宝庫だ。マグロ漬け丼と天然鯛茶漬けセットは、この町の漁港で朝獲れした魚を、その日のうちに漬けにして冷凍したものが届く。パッケージを開けば、ご飯の上に乗せるだけで、指宿の海がそのまま食卓に着地する。

マグロの漬けは、醤油ベースの漬けダレに浸された身が、ご飯との相性を計算し尽くしている。天然鯛の茶漬けは、かつお魚醤が付属し、熱湯をかけることで香りが立ち上る。朝食に、昼食に、夜食に。冷凍庫に常備しておけば、指宿の漁港の時間帯を選ばず、家の食卓で再現できる。
焼酎の飲み比べで、町の蔵を巡る
いぶすきの芋焼酎6蔵飲み比べセットは、指宿市内の複数の蔵が手を組んで作った返礼品だ。各蔵が180mlずつ、6本セットで届く。黒麹、白麹、麦麹など、麹の種類や仕込み水、熟成期間が異なる焼酎を、一度に飲み比べることができる。
これは、指宿という町の産業の多様性を示している。一つの町に複数の蔵が存在し、それぞれが独自の製法を守りながら、同じ地下水と地熱の恵みを受けている。飲み比べセットを開けば、同じ町の焼酎なのに、香りも味わいも異なることに気づく。その違いは、各蔵の歴史と職人の手仕事の差である。
冬の夜、家族や友人と一緒に、6本を少しずつ飲み比べるのは、指宿という町を知る一つの方法だ。どの焼酎が好みか、どの蔵の味わいが心に残るか。その選択は、やがて指宿への寄付の動機にもなるだろう。
返礼品を選ぶ視点
指宿の返礼品は、大きく三つの柱で構成されている。一つは温泉地としての宿泊クーポン、二つ目は黒毛和牛などの畜産品、三つ目は海鮮と焼酎である。
この町の顔は、やはり「温泉と海」にある。宿泊クーポンも魅力的だが、家の食卓に着地する返礼品を選ぶなら、焼酎と海鮮丼の組み合わせが最も指宿らしい。黒毛和牛も良質だが、指宿の産業史を遡れば、農業と漁業、そして地熱を活かした焼酎製造が、町の経済を支えてきた。
返礼品を選ぶ際は、寄付額の大小ではなく、その品が町のどの産業を代表しているかを考えてみてほしい。指宿に寄付するなら、温泉の湯気と海の塩気が混ざった、この町独特の風土を家に招き入れる品を選ぶことをお勧めする。