砂丘地の秋、梨の季節
北栄町の北部は日本海に面した砂丘海岸。この北条砂丘という独特の地形が、この町の食卓を決めている。砂は水はけがよく、昼夜の気温差が大きい。秋になると、そうした条件が梨と柿を甘くする。
私がこの町を訪れるなら、秋口だ。由良川と天神川が作った北条平野の低地には、果樹園が広がっている。中国山地から流れ込む水と、砂丘地の日差しが交わる場所。そこで育つ王秋梨は、届いた時点で食べ頃に近い。箱を開けると、梨特有の香りが立ち上る。

王秋梨は晩生種だ。10月下旬から12月上旬にかけて、ゆっくり熟す。冷蔵庫の野菜室に入れておけば、2週間は持つ。朝、冷えた梨をかじる。シャリシャリとした食感は、砂丘地の水はけの良さが生んだものだ。皮は薄く、芯まで甘い。この季節、我が家の食卓には梨が常にある。
秋から冬へ、柿も同じ畑から
同じ北条平野で育つ富有柿と王秋梨のセットを選べば、秋から冬への季節の移ろいが家に届く。梨は10月、柿は11月。二つの果実が同じ土地から出てくる。

富有柿は甘柿だ。届いたら常温で数日置き、柔らかくなったら食べる。あるいは冷やして、シャキッとした食感を楽しむ。梨とは違う、柿の深い甘さ。この町の秋は、二つの甘さで成り立っている。

地酒で、その土地の水を飲む
由良川の水は、この町の農業を支えるだけでなく、酒造りにも使われている。日本酒の飲み比べセットは、北栄町の複数の蔵の酒を一度に味わえる。梨や柿を食べた後の晩酌に、地元の酒を傾ける。その水は、同じ川から引かれたものだ。
秋の夜長、冷えた梨をかじり、地酒を一杯。北栄町の食卓は、砂丘と平野、そして由良川という地形そのものが映し出されている。
