太平洋に面した、内陸に米田がある町
鴨川市は、房総半島の南東に位置する。市域は四つの地区に分かれている。沿岸部は漁港が点在し、太平洋の潮目が生む豊かな漁場を抱える。一方、内陸の長狭地区は、房総丘陵に囲まれた平野が広がり、米作りが盛んだ。この町は、海と山、漁業と農業が地続きの暮らしを営んでいる。
市の北部には清澄山を抱え、日蓮ゆかりの寺院が立つ。南部の江見地区では花作りが行われ、大山千枚田は日本の棚田百選に認定されている。こうした風景は、人の手が長く入った土地の表情だ。
献上米の系譜を引く、長狭のコシヒカリ
長狭平野で育つ米は、この町の顔である。大嘗祭献上米は、米屋新蔵が手がけた銘柄。かつて皇室の儀式に献上された米の系譜を引く品だ。

長狭平野は、房総丘陵に囲まれた盆地のような地形。昼夜の寒暖差が大きく、水が豊かだ。こうした条件が、粒の揃った、甘みのあるコシヒカリを育てる。届いた米を炊くと、粒が立ち、香りが立ち上る。晩秋から冬にかけて、温かい飯を食べる喜びは、この町の農業が生んだものだ。

同じ長狭米でも、川名一将さんちの米は、5キロから10キロまで選べる。家族の人数に合わせて、季節ごとに届けてもらう楽しみもある。

太平洋の地魚、そして宿泊の時間
沿岸部の漁港では、マグロをはじめ多くの魚が水揚げされる。本マグロの赤身と中トロは、鴨川の漁場が生んだ一品。赤身の深い色、中トロの脂の乗り具合。刺身として、あるいは握り寿司として、太平洋の潮の香りが口に広がる。
鴨川は、また観光地でもある。鴨川シーワールドや鴨川温泉郷を擁し、東京から70~80キロメートル圏内にある。市内宿泊施設の共通宿泊券は、リゾートホテルから旅館まで、複数の施設で使える。週末、この町に泊まり、朝に地魚を食べ、昼に棚田を歩く。そうした時間の過ごし方が、この町の返礼品には詰まっている。
編集後記
鴨川市を訪れると、海と山の距離の近さに驚く。漁港から車で20分も走れば、棚田が見える。こうした地理的な近さが、この町の産業と暮らしを形作っている。返礼品は、その地理が生んだ米と魚だ。寄付することで、季節ごとに届く米を食べ、時には宿泊して地魚を味わう。そうした循環が、この町を支えている。