土佐湾の朝、白く輝く小魚たち
南国市は高知県の空と陸の玄関口だ。高知空港を持ち、高知自動車道が走り、国道が交わる交通の要衝。だが私がこの町を見るとき、最初に思い浮かぶのは、その地理だ。北は四国山地の南端、南は太平洋に面した東西8キロメートルの海岸線。物部川が北から南へ流れ、土佐湾に注ぐ。この川と海が、この町の食卓を作ってきた。
土佐しらす佃煮は、その土佐湾で獲れた白い小魚を、塩辛く炊き上げたものだ。届いた瓶を開けると、磯の香りが立ち上る。ご飯の上にふりかけるのもいい。冷や奴に乗せるのもいい。朝食の味噌汁に一つまみ入れると、出汁が立つ。この小さな魚たちは、一尾一尾が土佐湾の季節を運んでくる。冷凍で届くから、食べたい時に食べたい分だけ、台所の冷凍室から取り出せる。

鰹の季節、刺身とたたきで
同じ土佐湾の恵みでも、鰹は別の顔を持つ。かつお刺身とたたきのセットは、一本の鰹を二つの食べ方で味わわせてくれる。刺身は、冷たいまま、わさび醤油で。たたきは、表面を炙った香ばしさと、中の冷たさが同居する。高知の食卓では、鰹は季節の使者だ。春から初夏にかけて、この魚が旬を迎える。セットに添えられた「幻の塩」は、その鰹の味を引き立てるために選ばれたものだろう。

定期便で、季節を食べ続ける
海の幸だけではない。南国市は「土佐の稲作発祥の地」と言われ、温暖な気候を活かして農業も盛んだ。しらす定期便は、三回に分けて届く。毎月、小分けされた新しいしらすが家に着く。季節が進むにつれ、漁の状況も変わる。その時々の土佐湾の表情を、食卓で感じることができる。

野菜も、この町の台所を支えている。ししとうは国内生産量の5割を高知県が占め、その中でも南国市は県内1位。新しょうが、大葉、ピーマン、パプリカ。これらは、高知平野の温暖さと、物部川の水がもたらす肥沃な土地で育つ。
食べ方の現実
しらすは、塩辛いから、ご飯が進む。おかずが少ない朝食の時間に、一杯のご飯と一匙のしらす。それで十分な朝になる。鰹は、夏の夜、冷えたビールの相手になる。刺身は、そのまま。たたきは、ポン酢をかけて、ねぎと一緒に。台所に届いた時から、その食べ方は決まっている。冷凍だから、計画的に、無駄なく使える。