吉野川の恵みが、台所に着地する
板野町は徳島県の北東、阿讃山脈の麓にある。南は吉野川のデルタ地帯で、肥沃な土壌が広がっている。春ニンジンは全国シェアの筆頭。レンコン、カブ、シロウリ、枝豆、藍——季節ごとに異なる作物が、この平野部を彩る。
そうした農業地帯だからこそ、鶏もまた育つ。飼料となる穀物や野菜が身近にあり、水も豊か。笹身の大葉揚げは、そうした環境で育った鶏の胸肉を、大葉で包んで揚げたもの。35グラムの一枚が、手のひらに収まるサイズだ。

冷凍で届く。解凍して、そのまま食卓に出す。弁当に入れてもいい。大葉の香りが、揚げた鶏肉の淡白さを引き締める。春先、新しい野菜が出始める季節に、こうした小ぶりな一品があると、食事の組み立てが楽になる。ご飯の上に乗せて丼にしてもいい。冷めても硬くならない揚げ方の工夫が、この品の実用性を支えている。
遍路道を歩く人たちの、食の背景
板野町には四国八十八箇所の寺院が3つ所在する。金泉寺、大日寺、地蔵寺——いずれも約1200年の歴史を持つ。町内では菅笠を被った「お遍路さん」を頻繁に見かける。かつての讃岐街道も通り、この町は古くから人の往来が多い場所だった。
そうした歴史の中で、地元の食べ物は、旅人にも、住民にも、必要とされてきた。鶏肉の揚げ物は、保存がきき、冷めても食べられ、手で持って歩ける。農業が主産業の町だからこそ、副産物としての鶏も、自然に育てられ、加工されてきたのだろう。
返礼品として届く一枚一枚は、そうした町の食べ方の現実を、家の食卓に運ぶ。特別な調理は不要。解凍して、温めて、食べる。その簡潔さが、この品の強さだ。