雪国の米作りの現場から
金山町は福島県の奥会津、新潟県との県境に位置する。冬の平均降雪は324センチに達する豪雪地帯だ。私がこの町を見るとき、まず思うのは、こうした厳しい気候条件の中で、なぜ米作りが続いてきたのか、ということだ。
只見川が町を貫き、その周辺に水田が広がる。夏場には川霧が立ち込める。こうした地形と気候が、実は米作りに適した環境を作っている。雪解け水の豊かさ、昼夜の気温差、霧がもたらす湿度——これらが米の品質に直結する。金山産のつや姫は、そうした風土の中で育つ。

町の産業は、かつて製茶や養蚕、林業で支えられてきた。だが今、農業の中心は水稲だ。特に赤カボチャなど特産品の開発に力を入れる一方で、米作りは町の基盤として静かに続いている。つや姫は、その基盤を担う品種である。
食卓に届く、その後
精米で届く米は、袋を開けた時点で、すでに町の冬の厳しさと春の恵みが詰まっている。炊く前に手で一握り、粒の揃い具合を確かめる。つや姫は粒が大きく、揃っている。水加減は少し少なめに。新米の時期なら特に、水を吸収しやすいからだ。
炊き上がると、粒が立つ。ご飯だけで食べても、その甘さが口に残る。朝食の味噌汁の具は控えめに。この米の味を邪魔しないために。昼は、おにぎりにして持ち出す。塩だけ。夜は、漬物と一緒に。
5キロ×2袋の計10キロは、二人暮らしなら1ヶ月強の量だ。冷蔵庫の野菜室に立てて保存すれば、湿度と温度が安定し、米の風味が落ちにくい。雪国で育った米だからこそ、冷たい環境を好む。
金山町の米作りは、人口減少と高齢化の中で、細く続いている。だからこそ、この町に寄付し、その米を食卓に迎えることは、単なる返礼品の受け取りではなく、奥会津の農業を支える一つの手段になる。