山の奥、食べ物を育てる手仕事
上小阿仁村は秋田県の中央、奥羽山脈の懐にある。村の総面積の92%以上が山林で、その73%は国有林。つまり、ここは人間が暮らす場所というより、山そのものが主役の土地だ。
江戸時代から、この山々を舞台に生きてきた人たちがいた。マタギだ。狩猟民として冬の豪雪に耐え、山の神に祈りながら、獲物を追った。八木沢集落は1813年、根子から移住したマタギたちが開いた。萩形も同じ時代、マタギの砦として栄えた。彼らは山を読み、季節を読み、自然と対話する術を持っていた。
その山奥で、今も食べ物は育てられている。比内地鶏は、秋田を代表する鶏だ。この村の返礼品として届くのは、1羽をもも・むね・ささみに分けたセット。冷凍で届き、家の冷凍庫に納まる。

比内地鶏は、昭和初期に秋田県の天然記念物に指定された在来種。肉質は締まり、脂の乗り方が独特だ。焼けば香ばしく、煮込めば深い味わいが出る。鶏がらスープにすれば、澄んだ出汁が引き出される。この鶏を家の台所に迎えることは、秋田の山の営みを、自分の食卓に着地させることでもある。
季節の手当てとして
冬の秋田は、保存食の季節だ。マタギたちも、狩りの合間に塩漬けや燻製で食を支度した。その感覚は、今も村の暮らしに息づいている。
比内地鶏のセットは、選べるお届け回数・内容量という柔軟さがある。一度に全量を受け取るのではなく、季節ごと、月ごとに分けて届けてもらう選択肢もある。つまり、家の冷凍庫の容量に合わせ、食べるペースに合わせて、計画的に食べ進めることができる。
秋田の冬は長い。その間、何度も食卓に上る鶏肉。焼き鳥にしたり、親子丼にしたり、塩焼きにしたり。毎回、肉の質感と香りが変わって感じられるのは、比内地鶏だからこそだ。
山林92%の村から届く食べ物は、決して豊かさの象徴ではない。むしろ、限られた土地で、限られた資源を活かし、代々受け継がれてきた営みの証だ。その営みを、家の食卓で引き継ぐ。それが、この村への寄付の意味でもある。