山の冷涼さが育てたニンニク、焼酎に仕込む
青森県の最南端、岩手と秋田の県境に位置する田子町。町の名は、アイヌ語の「タプコプ」——小高い丘——に由来する。八甲田山系の山々に囲まれた、標高の高い土地だ。
私がこの町を訪ねるたびに感じるのは、昼夜の寒暖差の大きさだ。山岳地帯特有の冷涼な気候が、ニンニクの栽培に適している。全国的に知られた「ニンニクの町」として、田子はカリフォルニアのギルロイ市、イタリアのモンティチェッリ・ドンジーナ、韓国の瑞山市と姉妹都市提携を結んでいる。いずれもニンニクの産地だ。その事実だけで、この町がニンニク栽培にどれほど真摯に向き合ってきたかが伝わる。
ニンニク焼酎「どでん」は、その土地の産物を焼酎に仕込んだ一本だ。届いた時、瓶を傾けると、むきニンニクが同梱されている。焼酎の香りを嗅ぐと、ニンニクの辛味と焼酎の甘さが交わっている。晩酌の時間に、冷たいグラスに注ぐ。ロックで飲めば、ニンニクの香りが鼻を抜け、焼酎の芯が舌に残る。

山の手仕事、食卓へ
この焼酎を飲みながら、むきニンニクを肴にすることもできる。あるいは、届いたニンニクを使って、自分の台所で何かを作る。炒め物に、スープに、漬物に。山の冷涼さで育ったニンニクは、辛味が強く、香りが深い。焼酎とニンニク、両方が田子町の風土を体現している。

1992年、この町の和平高原は「星空日本一」に認定された。山深く、光害が少ない土地だからこそ、星が見える。その同じ環境が、ニンニクを育てる。焼酎を飲む時間も、その土地の時間を引き継ぐことになる。
