秋、ブドウの季節に鶴田町を知る
津軽平野の一角、鶴田町。リンゴの産地として知られる青森だが、この町はブドウ、それも「スチューベン」の生産量が日本一だ。私がこの町を訪ねるなら、秋の夕方。岩木川の流れを背に、ぶどう棚の下で、その季節の実を手にしたい。
津軽ぶどう村のスチューベンは、そういう風景そのものだ。スチューベンは粒が大きく、皮が薄く、種がない。冷蔵庫から出して、そのまま口に入れられる。秋の夜、晩酌の傍らに置いて、一粒ずつ。甘さと酸のバランスが、冷えた白ワインのように体に沁みる。

届いた箱を開けると、房ごとの重さが手に伝わる。保存は冷蔵で、食べる前に少し冷やす。一週間、二週間と、毎晩の食卓に同じ季節が続く。家族で分け合う時間が、自然と生まれる。
リンゴの町が、ブドウで名を上げた理由
津軽平野は、高山を背に、岩木川の水を引く土地だ。リンゴ栽培の歴史は長いが、スチューベンはこの町の気候と土が、特に合致した品種だった。生産者たちが、丁寧に房を整え、粒を揃える手間をかけた結果が、日本一という現実だ。
冬から春へ向かう時期の葉取らずサンふじも、この町の実力を示す。リンゴは冬の保存食だが、この品は2月の寄付で春先に届く。冷蔵庫の中で、季節が変わる間も、その甘さを保つ。皮ごと齧る、あるいは薄く切って、朝食の白い皿に並べる。リンゴとブドウ、両方の季節を、この町は用意している。

小さな町だからこそ、一つの品に全力を注ぐ。スチューベンは、その証だ。
