平野の中央で、米が育つ理由
板柳町は津軽平野のほぼ中央にある。周囲に林野がほぼなく、見渡す限り田畑という地形だ。岩木川と十川が流れ、かつては水運で栄えた町。その水が、今も米作りを支えている。
青天の霹靂とまっしぐらの詰め合わせは、この町の米作りを最も素直に表している。青天の霹靂は青森県が開発した品種で、粒が大きく、炊くと甘みが立つ。まっしぐらは食べ慣れた、どんな副菜にも合う米だ。二つの品種を組み合わせることで、毎日の食卓に季節の変化をつけられる。

届いた米は、冬から春にかけて食べることになる。寒い季節、温かいご飯の炊ける音と香りが台所に満ちる。青天の霹靂の甘みは、塩辛い漬物や味噌汁の具と相性がいい。まっしぐらは、朝食の卵かけご飯に、昼の弁当に、夜の雑炊に。米が主役になる食べ方も、脇役になる食べ方も、どちらでも応えてくれる。
リンゴの季節、家に届く
明治以降、この地にリンゴがもたらされると、板柳町はリンゴの名産地になった。昭和中期まで、駅からの出荷で町は賑わったという。今も、県下でも有数の作付け面積と収穫量を誇っている。
濃厚サンふじは、3月に届く家庭用のリンゴだ。訳ありという名前だが、味に変わりはない。むしろ、形や大きさにこだわらない分、農家の手間が減り、その分を味に注ぐことができる。糖度13度以上という基準は、この町のリンゴ作りの自信を示している。

冬から春へ移る時期、冷蔵庫に入れたサンふじを取り出す。皮は赤く、手に取ると重みがある。切ると、蜜が入っているのが見える。朝食のテーブルに置くと、家族の顔が明るくなる。子どもは皮をむいてもらうのを待つ。大人は、そのまま齧りつく。リンゴの季節は、この町の風土そのものが家に届く瞬間だ。
水と土地が作る、毎日の食べ物
米もリンゴも、この町では特別な産物ではない。毎年、当たり前のように作られ、出荷される。だからこそ、その当たり前の中に、この町の生業と風土が詰まっている。岩木川の水、津軽平野の土、そして農家の手。それらが一年を通じて、食卓に届く。
