水が育てる、肉の質
秋田県の仙北郡にある美郷町は、三つの町村が合併してできた町だ。その地形を特徴づけるのは、丸子川とその支流が形成した扇状地。六郷扇状地・千屋扇状地と呼ばれるこの地では、町内各所で地下水が自噴する。六郷地区は「水の郷百選」に選定されるほど、水に恵まれた土地である。
この豊かな地下水は、古くから米づくりを支えてきた。戦後、田沢疏水の開通によって扇状地の奥部も水田化が進み、農業経営の規模も拡大した。そして同じ水の恵みは、天狗森丘陵での和牛飼育にも活かされている。良質な水、夏季の温暖な気候、そして米を中心とした農業地帯ならではの飼料環境。これらが揃う土地だからこそ、黒毛和牛の育成が根付いた。
黒毛和牛の切り落としは、その環境で育った牛を、小分けにして届ける返礼品だ。500グラム×2パックという分量は、家庭の冷凍庫に無理なく納まり、使う分だけ解凍できる実用性がある。切り落としという部位は、すき焼きにも、牛丼にも、炒め物にも向く。季節を問わず、台所に常備しておきたい食材になる。

肉を選ぶ、季節を選ぶ
美郷町の返礼品には、部位や容量を選べるものが複数ある。特選A4等級以上の肩ロースは、焼肉や鉄板焼きに向く部位だ。脂と赤身のバランスが良く、火を通すことで香りが立つ。一方、牛うで肉は、煮込みや鍋に適している。時間をかけて加熱することで、繊維がほぐれ、深い味わいが出る。

定期便で肉を受け取る選択肢もある。豚肉と鶏肉を含む6回の定期便は、毎月異なる部位や調理法を試す機会をくれる。冷凍庫の中身を計画的に回転させながら、季節ごとの食べ方を工夫する。そうした台所の営みの中に、返礼品は自然に着地する。
名水の町の、もう一つの顔
美郷町は古くから日本酒の醸造地としても知られている。享保年間には、六郷川内池・高野の500軒中19軒が酒屋だったという記録が残る。名水と米。この二つの資源が、酒造りを支えてきた。そして今、その同じ水と気候が、黒毛和牛の飼育を支えている。
返礼品として届く肉は、単なる食材ではなく、この町の風土そのものを食卓に運ぶ。水が育てた米を食べて育った牛。その肉を、家族の食卓で調理し、味わう。そこに、美郷町という土地の厚みが感じられる。
