山また山、その奥の温泉
宮崎県の西端、九州山地のただ中に西米良村はある。面積の96%が森林だ。村に入ると、すぐに気づく。空が狭い。山々が四方を囲み、谷間に人の営みが細く続いている。冬は宮崎県としては珍しく雪が降る。夏は山からのフェーン現象で高温になる。そうした厳しい気候の中で、この村は979人で暮らしている。
寄付すると届くのは、村内の宿泊施設で使えるクーポンだ。西米良温泉ゆた〜とのような温泉宿で、山に囲まれた夜を過ごす。朝は冷え込む。そこで食べる朝食は、この村で育ったものばかりになる。

ユズと焼酎、山の産業が食卓に
この村の産業の中心はユズだ。山の斜面に植わったユズの樹は、冬の冷え込みと夏の雨を受けて、香りを深める。その実は、村の食卓に、そして全国へ届く。温泉宿の食事に、ユズの香りが忍ばせてあることも多い。

もう一つ、この村を知る手がかりがある。焼酎だ。米良地方は歴史的に熊本県の球磨地方と結びつきが強く、宮崎県内の主流である芋焼酎ではなく、米焼酎を愛飲する。その嗜好は、江戸時代の米良氏の時代から続いている。温泉宿の夜、地元の焼酎を傾けながら、山の暗さを感じる。そうした時間が、この村への寄付で手に入る。
村は小さい。979人だから、宿泊施設も限られている。だからこそ、訪れた時に、村の人と顔を合わせる確率が高い。ユズの話を聞き、焼酎の銘柄を教えてもらう。そうした出会いが、山奥の村への寄付の本当の返礼になるのだと思う。
