海と山が支える、佐伯の食卓
佐伯市は大分県の南東端、豊後水道に面したリアス式海岸と、祖母傾国定公園の山々に囲まれた町だ。江戸時代から「佐伯の殿様、浦でもつ 浦の恵みは山でもつ」と言われてきた。この言葉は単なる観光キャッチフレーズではなく、この町の食べ方そのものを表している。沿岸部の温暖な気候で育つ海の幸、山間部の冷涼な環境で育つ山の幸—両者が季節ごとに食卓に着地する。私はこの町を、海と山の両方の手仕事が日常に息づく場所として見ている。
番匠川がつくった県南最大の沖積平野に市街地が拓け、かつて佐伯藩の城下町として栄えた。その歴史の中で、漁業と農業、そして畜産が地域の生業として根付いてきた。特に注目したいのは、この町の和牛だ。
推し一品:おおいた和牛のすき焼き用モモ肉
おおいた和牛 すき焼き用モモ肉は、この町の食べ方を最も体現する一品だ。600gという量は、家族4人の晩酌の席に丁度よい。冷凍で届いた肉を、前夜から冷蔵庫で解かす。その間に、地元の野菜—白菜、長ねぎ、豆腐—を用意する。

すき焼きの鍋に割り下を張り、肉を入れる瞬間、脂の香りが立ち上る。4等級の和牛のモモ肉は、赤身の旨味が前に出ながらも、適度な脂が口の中で溶ける。すき焼きという調理法は、肉の質を最も素直に引き出す。この肉が佐伯で育ったこと、この町の飼育者の手が入っていることを、食べながら意識する。それが返礼品を選ぶ意味だと私は考える。

海の手仕事、干物の日常
佐伯の食卓に欠かせないのが干物だ。九州産ひもの真さばフィレ干物は、朝食の定番になる。10枚、5パックという構成は、一週間の朝食を想定した量だ。冷凍庫から一枚取り出し、朝の支度の間に自然解凍する。焼き網か魚焼きグリルで、両面をさっと焼く。3分もあれば十分だ。

真さばのフィレ干物は、骨が取り除かれているため、子どもでも食べやすい。塩辛さは控えめで、ご飯の進み具合が自然だ。この町の漁師たちが、豊後水道で獲った魚を、どう干すか—その手仕事の積み重ねが、毎朝の食卓に着地する。
地酒と米、季節の手当て
晩酌の相棒として、熟成純米酒 さいき雪正宗を選ぶ。720mlは一人の晩酌に、1800mlは家族や来客との時間に。辛口の純米酒は、すき焼きの割り下の甘さと相性がよく、干物の塩辛さも引き立てる。
米は減農薬特別栽培米 はなご縁。令和7年産の新米が、5kg単位で届く。この町の農業者が、どう米を育てたか—その選択が、毎日の食卓に反映される。特別栽培という手間をかけた米は、炊きたての香りが違う。
佐伯の返礼品は、観光地の土産ではなく、この町に寄付した人の家の食卓に、季節ごとに着地する品々だ。海と山の両方の手仕事が、一つの食卓を支える—それが佐伯という町の本質である。