球磨川と九州山地に挟まれた、果樹の町
熊本県の南端、宮崎県との県境に位置する錦町。町の北部は人吉盆地の一部で、球磨川が東西に流れる平坦な水田地帯。一方、南部は九州山地の一角を成す山がちな地形だ。この地形の違いが、町の産業を二つに分ける。平野では米、そして山の斜面では梨と桃が育つ。
私がこの町を見ると、「フルーツの里」というキャッチコピーは、単なる観光文句ではなく、地形そのものが生んだ必然に思える。山の傾斜地は、水はけがよく、昼夜の気温差が大きい。そこに根を張った梨や桃の樹は、その環境の中で、季節ごとに実をつける。
梨は夏から秋へ、季節の移ろいを食卓に
錦の梨は、先行予約で夏から秋にかけて届く。5kg という量は、一家で食べ切るには、実は計画が必要だ。届いた時点で、いくつかは冷蔵庫へ、いくつかは風通しのよい場所で追熟させる。梨は日持ちがしないから、毎日の食卓に、朝食後のデザートに、あるいは夜の晩酌の相棒に、少しずつ登場する。皮をむく手、シャリッとした歯ごたえ、その季節の日常が変わる。

梨は、そのまま食べるのが本来だが、熟しすぎたものは、砂糖漬けにしたり、ジャムにしたりする家もある。冷凍して、夏の終わりの思い出を秋に食べ直すこともできる。

桃は初夏から盛夏へ、白桃の季節
錦の水蜜桃は、2kg で約5玉から8玉。白桃の季節は短い。届いたら、すぐに冷蔵庫へ。朝、冷えた桃をかじる。その甘さと香りは、初夏の朝の目覚めそのものだ。家族で分け合う時間が、その年の夏の記憶になる。

桃も、梨と同じく日持ちが短いから、計画的に。熟しすぎたものは、白玉団子に添えたり、ヨーグルトに混ぜたり、台所の工夫が生まれる。
焼酎で、山の水と米の味わいを
錦町は、球磨焼酎の産地でもある。樽貯蔵の古酒は、米を原料に、この地の良質な水で仕込まれたもの。晩酌の時間に、グラスに注ぐと、その香りと味わいは、この町の風土そのものだ。梨や桃の季節が終わった秋冬、焼酎は台所の常備品になる。
返礼品を選ぶ時の視点
錦町への寄付を考えるなら、季節を意識して選ぶことをすすめたい。梨と桃は先行予約で、発送時期が決まっている。その季節に、家の食卓がどう変わるか、想像しながら申し込む。焼酎は、その季節の終わりの相棒として。
牛タンなどの肉類も返礼品にあるが、この町の顔は、やはり山の斜面で育つ果実と、その水で仕込まれた焼酎だ。寄付額よりも、その町で何が育ち、どう食べられてきたかを優先に選ぶ。そうすると、返礼品は、単なる商品ではなく、その町の季節の便りになる。
