冬の台所に、不知火が届く季節
宇城市は熊本県の中央部、宇土半島の南西に広がる市だ。東西に長く、海と内陸が混在する地形。五つの町が合併してできた市だから、農業地域と港町が同じ行政区の中に共存している。
冬から春へ向かう季節、この町の台所に欠かせないのが不知火だ。不知火町で栽培される柑橘で、デコポンの親戚にあたる。皮が厚く、手で剥きやすい。果肉は甘く、酸味とのバランスが良い。届いた箱を開けると、冬の日差しを浴びた果実の香りが立ち上る。

不知火は、この町の農業を象徴する品だ。八代海に面した温暖な気候と、段々畑の手入れが生んだ果実。3月から6月にかけて出荷される。朝食のテーブルに一個置く。皮を剥く手の動きが、季節の移ろいを感じさせる。
赤牛と、港町の記憶
同じ宇城市でも、松橋町や小川町の内陸部では、くまもとあか牛が育つ。赤牛は、熊本の在来種。肉質は赤く、脂肪が少ない。焼肉にすると、肉本来の味わいが前に出る。家族で囲む食卓に、この牛肉を焼く。煙が立ち、香りが部屋に満ちる。

三角町の三角港は、かつて天草諸島への航路の出発地だった。明治時代に築かれた三角西港は、今も世界遺産として残っている。その港町の歴史と、内陸の農業地帯の営みが、この市の顔を作っている。

甘夏の缶詰と、ワインの試み
甘夏みかんの缶詰も、この町の柑橘文化を伝える品だ。缶詰は、季節を超えて食卓に着地する。デザートとして、あるいは白いご飯の横に。
うきのもんでワインは、宇城市産の赤ワイン。この町が、新しい産業に挑戦する姿勢を示している。フルーティーな香りは、晩酌の時間を静かに彩る。
宇城市への寄付は、海と山が交わる町の、季節ごとの恵みを家に招くことだ。
