潮目が育てた一本釣りの魚
小値賀町は五島列島の北、佐世保と新上五島の間に浮かぶ。小値賀島を中心に、大小17の島が散在する。島々の間を流れる潮は、ブリ、ヒラス、イサキといった魚を運んでくる。
町の中核産業は漁業だ。恵まれた漁場を活かし、一本釣りを中心に、採貝藻、延縄、刺網など多様な漁法が営まれている。漁師たちは単に獲るだけではなく、稚魚の放流、藻場の維持といった資源保全にも手を入れる。海を守る営みが、次の漁を支える。
ヒラマサの漬け丼は、その潮目の恵みを最も素直に映した返礼品だ。−60℃で急速冷凍された身は、解けた時点で最も新鮮な状態になるよう計算されている。届いた時点で、漁師の手から食卓への距離が最も短い。丼飯にのせ、醤油をかけて食べる。身の甘さと、潮の香りが同時に口に入る。

島の斜面で育つ、季節の果実
漁業と並んで、農業も町を支える。肉用牛と米が基幹作物だが、実エンドウ、メロン、ブロッコリーといった野菜も産地化されている。

小値賀島の地形は起伏に富む。番岳は標高104メートル、本城岳は111メートル。島の斜面に沿って、農地が段々と開かれている。そうした地形の中で、アールスメロンは8月に熟す。玉が大きく、網目が細かく入る品種だ。島の日差しと、潮風が運ぶ塩分が、甘さを引き出す。

古い家に泊まり、島の時間を過ごす
返礼品の中には、宿泊券も複数ある。古民家ステイは、建築家アレックス・カーが監修した施設だ。小値賀島の古い民家を改修し、島の暮らしを体験できる場にしている。
町は「アイランドツーリズム」を推進している。海・農業・自然を包括的に体験できる島暮らし体験型観光だ。NPO法人おぢかアイランドツーリズム協会が窓口となり、行政と住民が一体で事業を展開している。古民家に泊まり、漁師や農家と顔を合わせ、その手仕事を見る。そうした交流の中で、小値賀の風土が身体に入ってくる。
島への航路は複数ある。佐世保からはフェリーと高速船が発着し、福岡からの便もある。島に着いた時、最初に目に入るのは、小値賀港周辺の笛吹地区だ。ここが町の中心部。港から古民家までの道のりも、島の地形と人の営みを読む時間になる。
