九州の動脈が通る町で、米が育つ理由
基山町は佐賀県の東端に位置し、福岡県と隣り合う。九州自動車道と国道3号が町を貫き、福岡市へ通勤する人口も多い。ベッドタウンとしての顔が強い町だが、その一方で、工場誘致による産業基盤も厚い。しかし私がこの町を見る時、最初に目に入るのは、そうした都市的な側面ではなく、契山や基山といった山々に囲まれた地形だ。
町の南北を秋光川や実松川が流れ、かつての農業地帯としての骨格は今も残っている。そこで育つ米が、2010年から連続して特A評価を受けているさがびよりだ。

特A受賞というのは、日本穀物検定協会による食味ランキングの最高評価である。毎年その評価を維持するというのは、単なる運ではなく、土地と作り手の対話が積み重なった結果だ。基山町の米作は、福岡と佐賀の気候が交差する場所で、水と土と季節の手当てを丁寧に重ねてきた歴史がある。
食卓に届く、毎日の米
5キロという量は、一人暮らしなら1ヶ月強、家族なら2週間から3週間の食卓を支える。毎日のご飯として、この米を炊く時、水加減は少し控えめに。さがびりは粒がしっかりしているので、水を多く入れるとべたつきやすい。白く炊き上がった時、粒の立ち方が違う。冷めても硬くなりにくく、おにぎりにしても、翌日の弁当でも、米本来の甘みが残る。
寄付を通じて届く米は、その町の農業を支える選択でもある。基山町では近年、若年層の転入が続き、人口が増加に転じている。そうした新しい住民たちが、この町で暮らし、この米を食べる。都市と農村の境界線上にある基山町だからこそ、こうした米の価値は、単なる食べ物ではなく、町そのものへの向き合い方を問い直す契機になる。
毎日の食卓に、この米が届く。それは基山町の土地と、そこで米を作り続ける人たちの営みを、家の中に迎え入れることでもある。