炭鉱から牧場へ、土地の記憶を食べる
福岡市の東、筑豊地域の南端に位置する桂川町。この町の経済を長く支えた炭鉱は、1972年に最後の一坑が閉山した。その跡地は今、工業団地として、そして牧場として、新しい産業に生まれ変わっている。
黒毛和牛の赤身ステーキは、そうした土地の転換を最も体現する返礼品だ。かつて地下から石炭を掘り出していた土地が、今は良質な牧草を育て、牛を育てている。赤身のステーキは、焼き色がついた時の香りが強く、肉そのものの味わいが前に出る。家の台所で、フライパンを熱して塩をふり、さっと焼く。中火で両面に色をつけたら、休ませて切る。赤身だからこそ、焼き加減で食感が変わる。ミディアムレアなら、噛むたびに肉汁が出る。そういう、素材の力を感じる食べ方が似合う肉だ。

米も、同じ土地から
桂川町の返礼品は、牛肉と米が中心だ。合鴨農法で作った米は、農薬を使わず、合鴨が田んぼの中を泳ぎながら雑草を食べ、肥料になる。こうした農法は手間がかかるが、土地を傷めない。炭鉱跡地を農地として再生させるには、こうした丁寧な営農が必要だった。白米として届く米は、粒がしっかりしており、炊くと香りが立つ。黒毛和牛のステーキを焼いた後、その肉汁を吸わせたご飯は、シンプルだが、この町の土地の力を一皿で感じさせる。

博多和牛の切り落としは、量が多く、保存と使い方の工夫が必要になる。冷凍庫に入れておき、週に何度かに分けて、すき焼きや牛丼、炒め物に使う。赤身ステーキとは違い、部位の混在が味わいに深さを与える。家の食卓に、何度も登場する肉になる。

