福岡市のすぐ隣、でも海の町の食べ方がある
粕屋町は福岡市東区と博多区に接する町だ。JR駅が6つあり、福岡インターチェンジも近い。ベッドタウンとして急速に発展し、今では九州の町村で最も人口が多い。そういう町だからこそ、私は返礼品に目を向けた時、ふぐが届くことの意味を考えた。
町は福岡平野の一角にあり、北部を多々良川が、南部を須恵川が流れている。かつては炭鉱と農業の町だった。昭和50年代以降、都市化が進み、今は商業施設やロードサイド店舗が立ち並ぶ。だが、この町の西側は博多湾に面した福岡市に隣接している。つまり、海はすぐそこだ。
天然ふぐの刺身が4~5人前で届く。冬の食卓に、博多湾で獲れたふぐが上がる。ふぐ刺しは、薄く引いた身を重ねて皿に盛る。透き通った白い身が、光に透ける。家族で囲む食卓では、ポン酢をかけ、ねぎと大根おろしを添えて食べる。ふぐの身は淡白だが、かみしめると海の香りが残る。

粕屋町の返礼品にふぐがあるのは、この町が福岡市の食文化圏に属しながらも、博多湾という自然資源に近い位置にあるからだ。都市と海の距離が短い。だから、冬になると、ふぐ鍋の季節がやってくる。
届いた時から、調理まで
ふぐちり3人前のセットもある。こちらは刺身に加えて、鍋用の身が入っている。冷凍で届き、食べる前夜に冷蔵庫で解凍する。昆布を敷いた鍋に湯を沸かし、ふぐの身を一枚ずつ入れる。火が通るのは数秒。白くなったら、すぐに引き上げる。ポン酢に薬味を混ぜたタレに、温かいふぐを浸して食べる。

ふぐ鍋は、手間がかかる食べ方ではない。だが、丁寧さが必要だ。火加減、タイミング、薬味の準備。そういう小さな手当てが、冬の夜を作る。粕屋町から届いたふぐは、その手当てを促す。

4~5人前のふぐちりセットは、家族が多い時や、友人を招く時に選ぶ。刺身と鍋の両方が入っているので、一度の食卓で、ふぐの複数の食べ方を味わえる。
福岡市に近い町だからこそ、都市の利便性と、海の恵みが両立する。粕屋町の返礼品は、そのバランスを体現している。