四万十川の流れが育てる米どころ
四万十町は、四万十川の中流に位置する人口1.5万人の町だ。北は四国山地、南は太平洋に面し、川と山に挟まれた地形が、この町の食べ物の顔を決めている。
特に米作りの条件は恵まれている。四万十川からの水、山からの湿度、そして昼夜の気温差。こうした自然が、仁井田米を育てる。この米は町の主要な産業であり、毎年新米の季節になると、町内の食卓に最初に並ぶ品だ。

仁井田米が届いたら、まず炊き立てを食べてほしい。粒がしっかり立ち、甘みが口に広がる。冷めても硬くならず、おにぎりにしても翌日おいしい。この米は、毎日の食卓の基本になる。白いご飯だけで十分だが、秋から冬にかけては、味噌汁や漬物と一緒に、朝食の時間が落ち着く。
麦酒牛、焼肉から煮込みまで
同じく四万十町の産業を支えるのが畜産だ。町内で育つ麦酒牛は、その名の通り、地元の麦酒(ビール)の副産物である麦粕を飼料に含めて育てられた牛肉である。

麦酒牛のこま切れは、用途が広い。すき焼きに使えば、脂が甘く、肉じゃがに入れれば、煮込みの中で柔らかく仕上がる。冬の夜、鍋を囲む時間に、この肉があると、食卓が一段階上がる。また、焼肉用の厚切りは、炭火で焼くと香りが立ち、ビールとの相性も良い。
麦酒牛は、町の農業と畜産、そして地元の焼酎・日本酒蔵元(無手無冠、文本酒造)の営みが一つになった産物だ。返礼品として届いた時点で、すでに四万十町の風土が家の冷蔵庫に入っている。
米粉の菓子、地元の素材で
四万十町の米は、ご飯だけではない。米粉のバスクチーズケーキのように、地元産の米粉を使った菓子も増えている。グルテンフリーという現代的な食べ方に対応しながらも、素材は町の米。焼き菓子として日持ちもするので、季節の手土産にも向く。
四万十町への寄付は、米と肉という基本的な食材を家に迎えることだ。毎日の食卓に、この町の地形と産業が着地する。それが、ふるさと納税の本来の形だと私は考えている。
