銀山の麓、水が育てる酒と米
島根県大田市は、かつて世界有数の銀山を抱えた町だ。石見銀山——その採掘の歴史は、この地の水脈を深く刻んだ。山々に囲まれた盆地のような地形は、雨を集め、清冽な水を生む。その水が、米を育て、酒を醸す。
私がこの町を見るとき、銀山跡の石垣と、その奥に広がる田畑が一つの風景に見える。採掘で削られた山肌は、やがて水を守る山となり、その山からの水が、現在の生業を支えている。過去と現在が地続きの町だ。
石見銀山の純米吟醸は、その水で仕込まれた酒である。改良八反流という米を使い、大吟醸の香りを引き出した一本。晩酌の盃に注ぐと、山越えの冷気が鼻を抜ける。銀山の町が、どのような水を持つのかが、その一杯に凝縮されている。

減農薬の米、山の恵みを素直に
同じ水系で育つ大田産のコシヒカリは、減農薬で栽培されている。山からの水、その清冽さを信じた作り手の選択だ。玄米で届くこの米は、精米の手間をかけることで、食卓に着く時間が自分たちの手に委ねられる。炊き立ての湯気の中に、銀山の麓の季節が立ち上る。

旅で訪れるなら、楽天トラベルクーポンを使い、この町に泊まることもできる。宿から見える山並みは、採掘の時代も、現在も、変わらず水を集めている。朝食の米、晩酌の酒——その両方が、同じ山からの恵みであることに気づく滞在になるだろう。

