黒潮が運ぶ、白い季節の恵み
和歌山県の南端、すさみ町。紀伊半島がほぼ最南端に達するこの場所は、沖合を流れる黒潮の影響を受けた、独特の漁場だ。リアス式海岸が複雑に入り組み、漁港を作るのに適した地形。そこに毎年、春から初夏にかけて、大量のしらすが押し寄せる。
この町の漁業は、カツオやブリ、イセエビで知られているが、日常の食卓に最も身近に着地するのは、実はこのしらすではないだろうか。釜揚げしらすは、獲れたばかりの稚魚を塩漬けにせず、そのまま釜で加熱して冷ます。塩辛さと、ほのかな甘さが同居する味わい。冷蔵で届けば、開けてすぐに白いご飯に乗せられる。
釜揚げしらすは、250グラムずつ4パックに分かれている。一度に使い切らなくていい。冷蔵で数日、冷凍なら数週間。家族の人数や食べるペースに合わせて、少しずつ解凍できる。朝食の定番として、昼の丼ぶりの具として、夜の酒の肴として。季節が変わるまで、この町の海の恵みが食卓に顔を出す。

山と海が交わる風土の中で
すさみ町の地形は、町域の90パーセント以上が山林だ。海岸線は複雑に入り組み、内陸に入ると急峻な山々が迫る。そうした地形の中で、この町は漁業と林業の両輪で生きてきた。かつては製材所も多かったが、今は林業も停滞している。だからこそ、海からの恵みがより一層、この町の経済と食卓の中心になっている。

カツオは「すさみケンケン鰹」としてブランド化され、イセエビは全国有数の水揚げを誇る。しらすもまた、その黒潮の恩恵を受けた、この町ならではの季節の味だ。
他の返礼品との組み合わせ
しらすだけでは物足りない食卓なら、同じ海の恵みとして梅酒を合わせるのもいい。紀州の梅を使った梅酒は、この地域の伝統的な加工品。釜揚げしらすの塩辛さを、梅酒の酸味と甘さが引き立てる。晩酌の時間に、小皿に盛ったしらすをつまみながら、冷やした梅酒を一杯。

また、春から初夏にかけて旬を迎える河内晩柑も、この町の返礼品の中では季節感がある。柑橘類は有田地域の産物だが、すさみ町も同じ和歌山県内。海の幸と山の幸、両方を家に届けることで、この町の風土全体が食卓に映る。
しらすは、毎日の食事に溶け込む食材だ。派手さはないが、塩辛さと甘さのバランスが、白いご飯を進ませる。黒潮が運んできた、この町の春から初夏の味を、家の食卓で何度も繰り返す。それが、ふるさと納税の返礼品としての、最も自然な着地ではないだろうか。