二つの湾に抱かれた、みかんの産地
美浜町は知多半島の南端に位置し、伊勢湾と三河湾の双方に面している。この地形が生み出す潮風と、限られた平地に張り巡らされた農地が、この町の食卓を支えている。私がこの町を見るとき、まず思い浮かぶのは、海に近い畑で育つ柑橘の樹だ。塩分を含んだ風が吹き抜ける環境は、果実に独特の甘みと酸味のバランスをもたらす。
町の主要産業は農業と漁業。特に柑橘栽培は、この地の気候風土に深く根ざしている。有田みかんは、そうした風土の代表選手だ。極早生から越冬完熟まで、季節ごとに異なる熟度を選べるこの返礼品は、冬の食卓に何度も登場する。11月の青々とした極早生は、爽やかな酸味が朝食に映える。年が明けて1月、2月の越冬完熟は、樹上で寒さに耐えた果実の深い甘さが、家族の団らんを温める。

台所に届く、季節の手当て
みかんが家に届いたとき、私たちの台所は一変する。段ボール箱を開けると、潮の香りがほのかに漂う。皮を剥く手に、果汁が滲む。その瞬間、知多半島の冬の日差しと潮風が、食卓に降りてくる。
極早生は、そのまま食べるのが最良だが、酸味が活きているので、砂糖をかけた白和えや、大根おろしと合わせた和え物にも向く。完熟みかんは、皮が薄く、房も柔らかいため、子どもでも食べやすい。冬の間、毎日一個、二個と食べ続けることで、この町の季節が家の中に溶け込んでいく。
海の恵みと、米の油
みかんと並んで、この町の食卓を支えるのが海の幸だ。河和港を中心とした漁業は、潮干狩りから本格的な漁まで、多様な営みを生み出している。紀州湯浅醤油を使った海鮮丼は、地元の醤油と地元産の魚を組み合わせた、この町ならではの一品。冷凍で届くため、食べたいときに解凍して、ご飯にのせるだけで、漁港の味が家に蘇る。

また、こめ油も、この町の農業の側面を映している。米どころとしての知多半島の歴史は古く、その米から搾った油は、揚げ物から炒め物まで、毎日の調理に欠かせない。潮風の中で育ったみかんを食べ、その油で天ぷらを揚げる。そうした営みの中に、美浜町の風土が息づいている。
