刀の町が、肉を焼く理由
兵庫県の中央、神崎郡に位置する市川町。この町の産業を聞くと、多くの人はゴルフクラブを思い浮かべるだろう。アイアンヘッドの製造で知られ、刀鍛冶の技術を応用した金属加工が今も息づいている。だが、その同じ手仕事の精神が、実は食卓にも届いている。
但馬牛の焼肉セットは、この町で育った黒毛和牛を、肩とモモの部位でセットにしたもの。焼肉用に切られた肉は、厚さと繊維の向きが揃っていることで、火の通りが均等になる。それは、精密さを求める町の気質そのものだ。

届いた肉を手にすると、赤身の色が深い。脂肪と赤身のバランスが、焼くたびに香りを変える。2〜3人の食卓なら、この500グラムは夏の夜の焼肉に、秋口の鍋の〆に、季節を選ばず活躍する。冷凍で届くため、食べたい日に解凍して、その日の気分で調理できる。
肉の選択肢、季節の手当て
同じ但馬牛でも、すき焼き用のセットもある。こちらは肩とモモを薄く切り、すき焼きの鍋に合わせた仕上げ。焼肉と異なり、割り下の中でゆっくり火が通る調理法に最適化されている。冬の家族の食卓、あるいは親戚が集まる季節に、この肉を選ぶのは自然だ。

より大容量を求める家庭には、国産牛の切り落とし1キロも選択肢になる。赤身が主体で、丼や炒め物、煮込みなど、毎日の調理に組み込みやすい。焼肉やすき焼きの『ハレ』の食卓と異なり、『ケ』の日常を支える肉として機能する。

市川町の返礼品は、肉の部位と調理法を丁寧に分けて提案している。それは、この町が金属加工で培った『用途に応じた精密さ』を、食卓の現実に落とし込んだ姿勢に見える。どの肉を選ぶかは、あなたの季節と家族の食べ方次第だ。
卵も、同じ手仕事の町から
肉だけではない。定期便で届く卵も、この町の返礼品の一角を占める。毎月30個ずつ、6ヶ月間、卵かけご飯に相応しい卵が家に届く。朝食の定番、あるいは夜食の一杯。肉を焼いた夜の翌朝、この卵でご飯を食べる。そういう日常の連続が、ふるさと納税の返礼品を活かす本当の形だと思う。
