蛇紋岩の土が、米を変える
養父市の米を食べると、その土地の地層が口に入ってくる感覚がある。兵庫県北部、但馬地方の中山間地。氷ノ山を背に、円山川が流れるこの谷間は、豪雪地帯だ。冬の積雪が深いからこそ、春の雪解け水は清冷で、田んぼに注ぎ込まれる。
この地で育つ蛇紋岩ブランド米は、土壌そのものが返礼品の主役だ。蛇紋岩という特殊な岩盤が風化してできた土は、ミネラルが豊富で、稲の根が深く張る。だから粒が詰まり、炊いた時の粘りと甘みが違う。農薬を減らす栽培に取り組む農家たちが、この土の力を引き出している。

秋の収穫から冬を越して、翌年の秋に届く先行予約の米。待つ時間も、この土地の季節感の一部だ。白いご飯として、毎日の食卓に着地する。味噌汁の具と一緒に、朝の一杯。その素朴さが、この米の本質を映す。
但馬牛の赤身と霜降り、食べ方で選ぶ
養父市は但馬牛の産地だ。この地で育つ牛は、国家戦略特区の指定を受けた農業改革の中でも、伝統的な畜産として守られている。但馬牛は黒毛和牛の血統を守る品種で、兵庫県内でも特に厳格な基準で育てられる。

しゃぶしゃぶ用の赤身と霜降りセットは、この牛の食べ方を二つ提案する。赤身は、牛の筋肉の旨味をそのまま味わう。霜降りは、脂の甘さが口に広がる。どちらを選ぶかは、その日の食卓の気分次第だ。冬の夜、家族で鍋を囲む時、薄く切られた肉がお湯をくぐる数秒の間に、火が通る。その瞬間の香りと食感は、産地の季節と手仕事の積み重ねを食べることになる。

すき焼き用のかた・もも肉も、同じ但馬牛だ。すき焼きは、砂糖と醤油の甘辛さが肉の旨味を引き出す調理法。赤身が活躍する場面だ。家の台所で、鋳物の鍋を温め、肉を焼く。その手の動きは、何世代も前から変わらない。
農薬を減らした米も、選択肢に
栽培期間中農薬不使用のコシヒカリも、この地の米だ。無洗米で届くから、研ぐ手間がない。毎日の食卓を支える米として、シンプルに選ぶ選択肢になる。蛇紋岩ブランド米とは異なる品種だが、同じ養父の土で育った米。食べ比べることで、この地の農業の多様性が見える。
豪雪地帯の中山間地で、人口が減り続ける中でも、農業を守ろうとする営みがある。返礼品として家に届く米と牛肉は、その営みの現在形だ。
