三月の甘さ、予約で待つ理由
御浜町の台所は、みかんの季節が九月に始まり、翌年の六月まで続く。九月の極早生温州から伊予柑、清見、甘夏へと移ろい、六月のサマーフレッシュ、そして温室みかんへ。一年を通じて何らかの柑橘が食卓に上る町だ。
その中でも三月は、冬を越した果実の甘さが最高潮に達する季節。三月の御浜柑橘 しらぬいは、そうした季節の手当てを先読みする返礼品だ。しらぬいは清見とポンカンの交配種で、果皮が薄く、房ごと食べられる。冬の間、樹上で熟成を重ねた果実は、酸と甘のバランスが研ぎ澄まされている。

北と西を山に囲まれ、東は熊野灘に開かれた地形。この町の柑橘栽培は、海からの温暖な風と、山が守る微気候の中で育つ。三月に届いたしらぬいを、朝食の食卓に置く。皮を剥く手に、春の香りが移る。房を分けて食べると、果汁が指に滲む。そうした日常の一場面が、この町の風土と直結している。
年中の柑橘、そして海の幸
御浜町はまた、マイヤーレモンの国内主要生産地でもある。紀宝町と合わせて、国内生産量の九割を占める。熊野ライムは、そうした柑橘の多様性を示す返礼品。ライムは酸味が強く、カクテルやサワーの材料として、また調理の引き締め役として台所に常備する人も多い。五キロという量は、一度に使い切るのではなく、冷蔵庫で保存しながら、季節を通じて少しずつ消費する食材だ。

海に面した町だからこそ、熊野灘産の活伊勢海老も返礼品に並ぶ。七里御浜と呼ばれる玉砂利の海岸は、吉野熊野国立公園に指定されている。その海で獲れた伊勢海老は、刺身で、あるいは塩焼きで、海の塩辛さをそのまま食卓に運ぶ。

小さな町だからこそ、柑橘と海が同じ風景の中にある。返礼品を通じて、その風景が家の食卓に着地する。
