黒潮の恵みが、毎日の晩酌に着地する
尾鷲は雨の町だ。年間降水量が4000ミリメートル近くに達する、日本でも有数の多雨地帯。背後を山に囲まれ、南からの暖かく湿った空気が春から秋にかけて流れ込みやすいからだ。その雨が山を潤し、川を通じて海へ注ぎ、黒潮が流れる熊野灘の栄養を濃くする。リアス式海岸の複雑な地形と、この豊かな海が出会う場所——それが尾鷲港だ。
江戸時代から林業で栄えた町だが、天然の良港を基盤とした水産業も、同じくらい町の血肉になっている。近海もの、遠洋漁業、トロール船の深海産エビ。季節ごとに異なる魚が揚がり、その日の朝に獲れたものが、夕方には市場に並ぶ。
天然本まぐろの中トロと赤身セットは、そうした尾鷲の漁業の現在を最も素直に映す返礼品だ。中トロの脂の乗り具合、赤身の深い色。これらは単なる「高級部位」ではなく、黒潮が育てた本マグロの、季節と個体の違いを食べ手に問いかけるものだ。冷凍で届くが、解凍して刺身盤に並べれば、白いご飯の上に乗せるのも、そのまま醤油をつけて食べるのも、晩酌の時間が一段階上がる。家の食卓に、尾鷲の港の空気が着地する瞬間だ。

朝獲れの魚を、手軽に、何度も
毎日の食卓には、もっと気軽な付き合い方もある。ビンチョウマグロの漬け丼の素は、冷凍の小分けパックで4食分。仕事から帰った夜、ご飯を盛ってパックを流水で解凍し、かけるだけで一杯の丼が完成する。漬けの味が、ご飯と魚を一体にする。尾鷲の漁師たちが日帰りで獲ってくる魚の鮮度を、加工の手間で引き出した形だ。

ブリの切り落としセットは、3ヶ月の定期便。150グラムずつ小分けされた5パックが、毎月届く。春から初夏にかけて、尾鷲ではワラサ(ブリの1歳魚)が旬を迎える。その時期の脂の乗り具合を、冷凍で保存し、家の冷蔵庫で少しずつ解凍して食べる。刺身として、あるいは漬けにして、季節の変化を何度も味わう。定期便だからこそ、尾鷲の漁業の営みが、家の食卓に定着する。
尾鷲の返礼品は、『高級な魚を一度だけ』ではなく、『毎日の食卓に、尾鷲の海を呼び込む』という約束だ。