水と生きる町が、酒を仕込む理由
蟹江町は、町域の5分の1を河川が占める。蟹江川、日光川、福田川、善太川、佐屋川——北から南へ流れ落ちる5本の川が、この町の骨格をなしている。海抜ゼロメートルの沖積平野に位置するこの土地は、古くから水害に悩まされてきた。1891年の濃尾地震、1912年の台風による堤防決壊、1959年の伊勢湾台風。何度も水に呑まれ、その度に堤防を築き直してきた町だ。
そうした環境の中で、この町は酒を醸してきた。水と向き合う生活の中で、良質な水の価値を知る者たちが、その水を使って酒を仕込む。それは必然だったのだろう。蟹江の酒蔵は、この町の水文化そのものを表現している。
四天王 大吟醸 長春は、山田錦を使った上品な一本だ。大吟醸という格式の中で、フルーティーさとキレを両立させた酒。晩酌の時間に、冷やして飲む。グラスに注いだ時の香りが立ち、一口目の透明感が口に広がる。この酒を仕込んだ蔵人たちは、この町の水を知り尽くした者たちだ。

酒蔵の手仕事が、町の記憶を運ぶ
蟹江町は1889年の町村制施行から130年以上、単独町制を守り続けている。愛知県下でも、その形態を変えずに維持している自治体は4つだけだ。その歴史の中で、酒蔵もまた、世代を重ねながら酒を仕込み続けてきた。

醉泉 2本セットは、純米吟醸と本醸造の組み合わせ。300ミリリットルという小ぶりなサイズは、毎晩の晩酌に、あるいは季節ごとの味わい比べに向いている。冷酒として飲むことで、それぞれの酒の個性が引き立つ。

蟹江の酒蔵の仕事は、この町の水と時間を瓶に詰める作業だ。河川に囲まれた低地で、何度も水害を経験しながらも、その水を活かす道を選んだ先人たちの選択が、今も酒の中に息づいている。寄付を通じて届く一本一本は、そうした町の営みの記録でもある。