長良川が運んできた、紙と酒の町
美濃市は、山と平地の境目にある町だ。北から海抜1000メートルを超える山々がせり出し、そこを抜けた長良川が濃尾平野に流れ込む地点。この地形が、1300年前から和紙づくりを支えてきた。良質なコウゾが育ち、清流が紙を漉くのに欠かせない水を供給する。正倉院に残る702年の戸籍用紙に、すでに美濃和紙が使われていた。
江戸時代、この町は上有知藩の城下町として栄えた。長良川に上有知湊を開いた金森長近は、和紙を中心とした物資の集散地を作った。その町並みは今も「うだつのあがる町並み」として残り、重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。
私がこの町を見ているのは、そうした歴史の層の上に、今も生業が続いている場所だということだ。和紙の産地であり、同時に酒蔵がある。どちらも水と時間を必要とする仕事である。
山田錦を仕込む、小坂酒造場の手
百春 純米大吟醸(うだつ)は、美濃市の小坂酒造場が仕込む酒だ。最高の酒米・山田錦を使い、大吟醸に仕上げている。720ミリリットルの瓶に詰められた酒は、晩酌の時間に家の食卓に着地する。冷やして、あるいは常温で、米の香りと透明感を感じながら飲む。酒蔵がこの町に根を張っているのは、長良川の水があるからだ。

同じく小坂酒造場の百春 斗びん取り大吟醸も、山田錦を使った一本。こちらは斗びん取りという古い瓶詰めの手法で仕上げられている。手仕事の痕跡が、瓶の形に残っている。

地の素材を活かす、もう一つの手仕事
クラフトビールアソート6本セットは、地産の麦を使った無ろ過のビール。バーベキューや家飲みの場面で、季節の食卓に合わせて選べる6本が届く。ビール造りもまた、水と時間の仕事だ。

美濃市の返礼品を選ぶとき、私は推しとして地酒を選んだ。それは、この町が1300年かけて育ててきた「清流を活かす技術」が、和紙にも酒にも同じように息づいているからだ。山から流れ出る水が、紙を漉き、米を育て、酒を仕込む。その循環の中で、職人たちの手が今も動いている。
%2C%20Mino%2C%20Gifu%20Prefecture%20501-3701%2C%20Japan%20-%20panoramio.jpg?width=900)