雪国の米は、冬が育てる
野沢温泉村は、長野県の北東に位置する小さな村だ。毛無山から千曲川へ向かう高低差1,350メートルの地形は、冬になると豪雪地帯へと変わる。年平均降雪量が1,087センチメートル。この数字は、単なる気象データではなく、村の食卓を決める条件そのものだ。
私がこの村を見ているのは、『スキーと温泉の観光地』ではなく、『雪に包まれた農村』としてだ。冬の厳しさが、春から秋にかけての米作りにどう影響するか。その関係性を返礼品の米を通じて感じてほしい。
村の御用達米は、この地形と気候の産物だ。寒暖の差が大きく、冬は氷点下15度を下回る日も珍しくない。そうした環境で育つコシヒカリは、粒が引き締まり、甘みが凝縮される。米を炊いた時の香りは、雪解け水の清涼感を思わせる。

届いた米を家の米びつに移す時、その重さと白さを感じてほしい。毎日の朝食で、この村の冬を食べることになる。温かいご飯を口に入れた時、粒の立ち方、歯ごたえ、後から来る甘さ——それらは、毛無山の雪が何ヶ月もかけて溶け出した水が、田んぼを潤してきた証だ。
温泉街の奥に、田んぼがある
野沢温泉村の産業は観光が中心だが、村土の約半分は山林で、その間に農地が息づいている。江戸時代から続く『野沢組』という自治組織が、温泉の管理だけでなく、水路の修繕も担ってきた。つまり、温泉街の繁栄と米作りは、同じ村の営みの両輪だったのだ。

10キログラムの米を選べば、家族の食卓で2週間から3週間、毎日この村の米を食べることになる。朝のご飯、お弁当、夜の食事。その繰り返しの中で、『野沢温泉村』という名前が、温泉だけでなく、米の産地としても心に刻まれるだろう。

冬の間、村は雪に閉ざされる。その静寂の中で、来年の米作りへの準備が始まる。寄付をして返礼品を受け取ることは、その準備を支えることでもある。