山の水が米を育てる
長野県の北東、山に囲まれた村だ。面積の8割が山林で、その7割が国有林。樽川、馬曲川という二つの川が村を流れ、その水が田を潤す。私がこの村を見るとき、まず思うのは『水の豊かさ』である。
村長の太鼓判というコシヒカリは、その水と土地が生んだ米だ。返礼品の説明に「最高級」とあるが、私が注目するのは『木島平村農業振興公社』という名前。村が農業を支える仕組みを持っているということだ。小さな村だからこそ、一粒一粒に目が届く。

届いた米を炊く時、その白さと香りで初めて『ああ、この村の水と土だ』と感じるだろう。冬の朝、湯気の立つ茶碗を前にすると、遠い山々の雪解け水がここに来ているのだと思える。米は季節を運ぶ。1.5kg、5kg、10kgから選べるのは、一人暮らしから家族まで、その家の食べ方に合わせるためだ。
冬の夜、りんごの発酵が映える
同じ山の麓で、アルプズというアップルシードルも作られている。りんごを発酵させた、甘口の飲み物だ。

木島平の冬は長く、静かだ。スキー場があり、観光の季節もあるが、村の日常は山の静寂に包まれている。そういう夜に、グラスに注いだシードルの琥珀色を眺めるのは、都会の晩酌とは違う時間だ。甘口だから、食事の後の一杯にも、冬の午後の休憩にも合う。330ml × 3本か6本か、その選択も『この冬、どのくらい静かに飲みたいか』という問いかけのようだ。
小さな村の、大きな選択
この村は2004年、合併を選ばず、村単独での生き残りを決めた。人口4260人。その決断の背景には『地域振興の柱』を守りたいという思いがあったと聞く。返礼品として届く米とシードルは、その決断の先にある、今この村で作られ、食べられているものだ。
寄付をして、この返礼品を家に迎えることは、単なる商取引ではなく、山に囲まれた小さな村の、今を支えることになる。
