寒暖差が刻む、赤身の甘さ
飯島町は中央アルプスと南アルプスに挟まれた谷間にある。冬は−10℃を下回る日が数日、夏は真夏日が30日近い。この極端な気温差が、町の農産物に独特の甘みをもたらす。梨が皇室に献上されたのも、この風土のおかげだ。
その同じ気候が、馬肉にも影響を与えている。馬刺しの赤身は、冷凍で届く。解凍して、専用タレをかけて食べる。赤身は脂が少なく、噛むほどに肉の甘みが出てくる。冬の晩酌に、夏の冷たい一皿に。季節を選ばず、台所に置いておける食材だ。

飯島町で馬肉が名産になったのは、江戸時代の三州街道(塩の道)の宿場町としての歴史と無関係ではない。旅人たちが求めた栄養価の高い食べ物。その伝統が、今も町の食卓に息づいている。
清流の町の、シンプルな食べ方
中央アルプスから流れ出る与田切川、中田切川。この清流に育まれた町の食べ方は、素材を活かすことが基本だ。馬刺しの赤身も、タレの味わいを引き立てるために、余分な脂肪を削ぎ落とした形で届く。

30人前という量は、一度に食べ切るものではなく、冷凍庫に常備して、必要な分だけ解凍する使い方を想定している。晩酌の一品として、友人を招いた時の一皿として。小分けにされた状態で届くから、食べたい時に食べたい分だけ取り出せる。
飯島町の風土は、派手さよりも、毎日の食卓に根ざした食べ物を育ててきた。この馬刺しも、そうした町の気質を体現している。
