千曲川が二分する盆地の、北側の扇状地
上田市を訪ねたことがなくても、この町の地形を知ると、返礼品の顔が見えてくる。市のほぼ中央を千曲川が東から北西に流れ、その右岸の河岸段丘上に真田昌幸が築いた上田城を中心とした城下町がある。一方、城下町の北側—市街地を抜けた先の扇状地では、りんごをはじめとした果樹栽培が盛んだ。
大陸性気候で寒暖の差が大きく、冬は厳しい。だからこそ、秋に色づくりんごは、この土地の季節の手当てそのものだ。
「合戦りんご」—城下町の北で、毎年同じ手で育つ
合戦りんごは、JA信州うえだが出荷する訳あり品。サンふじやシナノスイートといった品種が、5キロか10キロか選べる。「訳あり」という言葉は市場向けの常套句だが、ここでは素直に受け取ってほしい。形が揃わなかったり、傷が入ったりした果実も、味は変わらない。むしろ、そうした「不揃い」こそが、人の手で育てられた証だ。

届いたりんごを、秋から冬にかけての食卓に置く。朝食の皿に一個。子どもの手に握らせる。皮をむいて、塩漬けにして保存食にする家もあるだろう。芯をくり抜いて焼きりんごにする。あるいは、そのまま齧る。りんごは、調理を待たない果実だ。だから、家に届いた時点で、すぐに季節が始まる。

上田の北側の扇状地は、こうした果樹の産地として、戦後から今まで、静かに続いてきた。城下町の歴史ばかりが語られるこの町で、農地の季節は、毎年同じペースで回っている。
他の返礼品—城下町と温泉、そして信州の手仕事
別所温泉の宿泊券は、千曲川左岸の塩田地区にある。この地区は「信州の鎌倉」と呼ばれ、平安時代から室町時代の建造物が点在する。別所温泉は奈良時代には開湯されていたという。城下町とは異なる、もう一つの上田の顔だ。秋から冬へ向かう季節に、温泉に浸かる。それも、この町の過ごし方の一つ。

信州味噌は、無添加の昔ながらの製法。上田市は江戸時代から製糸業で栄えた町だが、同時に、味噌や醤油といった調味料の産地でもある。台所の奥に一瓶、信州の味噌を置く。冬の味噌汁、春の野菜との合わせ。調味料は、季節を通じて、毎日の食卓を支える。
椀子ロゼは、シャトー・メルシャンのワイン。上田市の南部、丸子地区から武石地区にかけては、ぶどう栽培も行われている。秋の夜長に、冷やしたロゼを一杯。りんごの季節と、ワインの季節は、この町では重なっている。
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