盆地の平地に根付いた手仕事
昭和町は甲府盆地の中央、釜無川と笛吹川の間に開けた平坦な土地だ。戦後、この町は工業団地の造成で大きく変わった。1970年代から釜無工業団地が築造され、キトーやテルモといった企業が進出し、今も町の経済を支えている。しかし同時に、この町には別の手仕事の系統がある。それが貴金属細工だ。
プラチナのピアスは、その一例だ。0.1カラットのダイヤモンドをプラチナ900で留めたフック型。シンプルな設計だからこそ、金属の質感と石の輝きが際立つ。こうした細工は、一度の加熱で失敗すれば素材そのものが無駄になる。寸法の誤差も許されない。職人は何度も手を動かし、何度も目で確認する。その繰り返しの中で初めて、家に届く一対のピアスが完成する。

工業団地の隣で、こうした手仕事が続いている。機械と人の手が同じ町に共存する風景は、昭和町の特徴だ。
金の重さを知る、毎日の装い
純金のネックレスは、造幣局の検定刻印が入っている。60センチの長さは、毎日の装いに溶け込む長さだ。朝、首に掛ける時の重さ。その重さは、金という素材の誠実さを体に教える。

昭和町の職人たちは、こうした日用の貴金属を作り続けている。派手さではなく、毎日使える品質。それが、この町の細工職人の仕事の本質だと私は見ている。
地酒で、盆地の水を味わう
山梨の純米酒の飲み比べセットも、この町の返礼品に含まれている。笛吹川の水系に育つ米と、盆地の地下水で仕込まれた酒たちだ。笹一、春鶯囀、太冠、七賢、甲斐男山——いずれも山梨の蔵の銘柄。釜無川と笛吹川に挟まれた土地が、どんな水を持つのか。その答えの一つが、酒の味わいに映る。