里山と里海が一つの風景をつくる町
能登町は、能登半島の北部に位置する。日本海に面し、鉢伏山を背に、町野川や山田川といった幾筋もの川が山から海へ流れ込む地形だ。この地形が、私はこの町の食卓を決めている、と見ている。
2011年、能登の里山里海は国連食糧農業機関の世界農業遺産に認定された。それは統計ではなく、この町の人たちが何百年も、山と海の間で営んできた営みの証だ。棚田が段々と山肌を覆い、その下の里では野菜が育ち、海では漁が営まれる。その循環の中で、米が育つ。
2024年の能登半島地震は、この町に大きな傷を残した。だからこそ、今この町の返礼品を選ぶことは、その風土を支える選択になる。
柳田米——山と海の恵みが詰まった一粒
柳田は、能登町の中でも特に里山の景観が濃い地域だ。旧柳田村として独立していた時代から、この地は米の産地として知られてきた。柳田米こしひかりは、その柳田で育った米である。

届いた米を炊く時、私は水加減に少し気をつける。この米は、山からの清水と、海からの潮風を受けた土で育っている。だから、水は控えめに。炊き上がると、粒が立つ。一粒一粒が独立して、でも全体として一つの香りを放つ。それが、里山里海の米の食べ方だ。

朝、ご飯をよそう時、この米の透明感のある白さを見ると、柳田の棚田の風景が浮かぶ。塩辛い漬物、季節の野菜の味噌汁、そして海から上がったばかりの魚——そういう食卓の中心に、この米は自然に座る。保存は、米びつに入れて冷暗所に。夏場は冷蔵庫の野菜室でもいい。この米は、家の食卓に着地する時間が長いほど、その価値が見える。
海の幸と、発酵の手仕事
能登町の食卓は、米だけでは完結しない。宇出津港で水揚げされるするめいかは、この町の冬の台所の主役だ。船で凍らせたまま届く。解凍して、塩辛く、噛み応えのある食感は、ご飯を進ませる。子どもの頃、この町の家庭では、冬になるとするめいかを常備していたはずだ。

もう一つ、志賀浦みそのような発酵食も、この町の食卓を支えている。無添加の味噌は、毎日の味噌汁に使う。夏は冷やし汁に、冬は温かい汁に。一年を通じて、台所の奥に置いておく。米と、みそと、海の塩辛さ——それが、能登町の食べ方の基本だ。
季節の手当てとしての返礼品選び
この町から返礼品を選ぶ時、私は『今、この家の台所に何が足りないか』を考える。米は、一年を通じて必要だ。だから、柳田米を選ぶ。するめいかは、冬の保存食として、また酒の肴として、常備しておくといい。みそは、毎日使うものだから、無添加で信頼できるものを。
冷凍ブルーベリーも、この町の返礼品の中では珍しい。夏の盛りに摘まれた完熟のブルーベリーを、冷凍のまま届く。ヨーグルトに混ぜたり、パンケーキの上に乗せたり、あるいは解凍してジャムにしたり。季節外れの夏の味を、冬の台所に呼び込む手段になる。
これらの品々は、能登町の風土が、どのように家の食卓に着地するかを示している。高い寄付額の返礼品も多いが、この町を支えるのは、毎日使う米であり、季節ごとの海の幸であり、発酵の手仕事だ。
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