片貝漁港の朝、イワシが届く
九十九里町の台所は、海に向かっている。太平洋に面した九十九里浜の南部に位置するこの町は、イワシの町として知られ、片貝漁港を中心に、カタクチイワシを原料とした水産加工が今も営まれている。
寄付すると届く イワシの三昧 は、その町の生業そのものだ。冷風乾燥させた背黒めざし、塩漬けの真いわし、丸干し——複数の加工法で仕上げたイワシが一度に家に着く。これは単なる「干物セット」ではなく、片貝の漁師たちが季節ごと、その日の漁の質に合わせて選んできた加工の手順を、食べ手が体験する形になっている。

朝食の卓に、めざしを一尾。ご飯の上に乗せて、塩辛さと脂の香りが口に広がる。昼は、丸干しを軽く炙って、酒の肴に。夜は、みりん干しを温め直して、白いご飯と一緒に。同じイワシでも、加工の違いが食べ方を変える。この町の漁師たちは、そうした食べ方の多様性を知っているから、複数の形で届けるのだ。
貝の季節、ハマグリとナガラミ
イワシと並んで、九十九里の海が育てるのがハマグリだ。九十九里産の地はまぐり は、1.3キロという量感で届く。これは「食べきり」ではなく、「季節を過ごす量」だ。春先の潮干狩りの季節から初夏にかけて、ハマグリは砂抜きして、酒蒸しに。殻を開けば、甘みのある身が現れる。冷めてからほぐして、翌日のパスタに混ぜるのもいい。

もう一つ、この町特有の貝がある。ナガラミ(ダンベイキサゴ) だ。地元ではながらみと呼ばれ、ボイルされた状態で届く。小ぶりで、爪楊枝で身を引き出して食べる。塩辛く、磯の香りが強い。酒の肴として、あるいは白いご飯の上に乗せて、一粒ずつ食べる。量は1キロ——これは「毎晩の晩酌の友」として、秋から冬へかけて、少しずつ消費していく量だ。
町の漁業が、食卓に着地する
九十九里町の漁業は、イワシまき網漁業、小型船舶によるハマグリ漁、釣船の三種で成り立っている。返礼品として届くのは、その三つの営みの成果だ。寄付金は、この町の漁港を支え、漁師たちの手仕事を次の季節へ繋ぐ。
家に届いたイワシを焼き、ハマグリを蒸し、ナガラミを酒の肴にする。その時間の中で、九十九里の海と、そこで働く人たちの距離が、ぐっと近くなる。
