宿場町の記憶が、酒に残る
松戸は江戸時代、水戸と江戸を結ぶ水戸街道の宿場町だった。徳川将軍家が鷹狩りのために訪れ、高瀬舟が野菜を積んで江戸へ向かう。そうした往来の中で、旅人たちの喉を潤す酒も、この町で醸されていたはずだ。
今、松戸で作られている酒を見ると、その歴史の重さが感じられる。清酒・聖泉 純米松戸宿は、宿場町の名を冠した純米酒だ。720ミリリットルの瓶に詰められたこの酒は、松戸という地名そのものを飲み手に届ける。米を磨き、水を仕込み、時間をかけて醸す。その工程の先に、宿場町という歴史が立ち上がる。晩酌の盃に注ぐとき、江戸時代の旅人たちも同じように酒を飲んでいたのだろうか、そんなことを考えさせる一本だ。

工場の手仕事が、毎日の晩酌を支える
もう一つの松戸の酒の顔は、大手メーカーの工場で作られるチューハイやサワーだ。宝酒造と合同酒精という、日本を代表する酒造メーカーが松戸に工場を持つ。
焼酎ハイボール 大衆酒場のうめ割りは、梅の香りと焼酎の力強さを缶に詰めたものだ。350ミリリットル、24本。冷蔵庫に並べて、仕事から帰った夜に一本手に取る。その瞬間、松戸の工場で調合された味が、家の食卓に着地する。

ラムネサワーは、懐かしさを売りにしている。昭和の駄菓子屋で見かけたラムネの瓶を思い出させる味わい。こうした商品は、大量生産の工場だからこそ、毎日、何万本も安定した品質で作ることができる。その手仕事の積み重ねが、日本中の食卓を支えている。
松戸の酒は、宿場町の歴史を引き継ぐ純米酒と、現代の工業都市が生み出すチューハイの両方を持つ。江戸川を挟んで東京に接し、ベッドタウンとして50万人の人口を抱える松戸だからこそ、こうした多様な酒が生まれ、育つのだ。
