秩父盆地の水と米が仕込む地酒
秩父市は埼玉県の南西部、秩父山地に四方を囲まれた盆地の中心にある。市域の87パーセントが森林で、荒川が南西から北東に流れ、河岸段丘を形成している。この地形が、秩父の食卓の背景だ。
秩父錦の純米吟醸は、この盆地で仕込まれる。山に囲まれた土地の水、地元の米。晩酌の時間に、その土地の手仕事が家に着地する。1.8リットルの瓶は、夫婦で、あるいは友人を招いて、何度かの食卓を重ねる量だ。冷やして、ぬる燗で、季節ごとに飲み方も変わる。秩父の冬は真冬日こそ少ないが、年平均降雪量は36センチ。雪の夜の晩酌は、温かい酒が身に沁みる。

秩父は古来より神域とされ、秩父神社の門前町として栄えた。その歴史の中で、地酒の文化も根付いてきた。純米吟醸という格付けは、米と水と麹の仕事の厚みを示している。
山の町の宿泊と、もう一つの飲み方
秩父を訪れるなら、楽天トラベルのクーポンで対象施設に泊まるのも手だ。秩父鉄道が秩父駅まで開通したのは1914年。西武鉄道の秩父線が延伸し、特急「レッドアロー」が運行を始めたのは1969年。首都圏からのアクセスが整った町だからこそ、週末の宿泊客も多い。

秩父の夜祭はユネスコ無形文化遺産に登録されている。祭りの季節に訪れるなら、宿は早めに押さえたい。

秩父錦の特別純米酒と特別本醸造のセットは、飲み比べの楽しみがある。同じ蔵の異なる仕込みを、同じ夜に並べて飲む。米の扱い、麹の使い方、熟成の時間。その違いが、盃の中に浮かぶ。
秩父は、石灰石の産地でもある。武甲山では露天掘りが行われ、セメント工場も開設された。産業の町でもあり、神域の町でもある。その両面を持つ秩父の、地酒の味わいは複雑だ。