開拓地の米、季節ごとに家へ
阿見町は霞ヶ浦に面した茨城県南の町だ。戦前、ここは海軍航空の一大拠点だった。予科練習生を育成し、軍事施設が集中していた土地。1944年から45年にかけての空襲で、多くの人命が失われた。
戦後、その旧海軍用地の多くが引揚者によって開拓された。未開地だった畑が、人の手で耕され、農地へと変わっていった。その開拓の歴史が、今も町の農業を支えている。
阿見町産コシヒカリの定期便は、その開拓地で育った米だ。寄付すると、5キロ単位で複数回に分けて届く。精米か無洗米か選べるのは、家の食べ方に合わせるためだ。無洗米なら朝の準備が楽になる。精米なら、研ぐ手間をかけて炊く人もいるだろう。

定期便の良さは、季節ごとに新しい米が家に着くことにある。秋の新米、冬を越した春の米、初夏の米。同じ田んぼでも、季節によって土の状態は変わり、米の味わいも微かに異なる。毎月、あるいは隔月で届く米を食べることで、その町の四季を台所で感じることができる。
常陸牛と、フリーズドライの季節保存
米だけでなく、この町の食卓には他の品も届く。常陸牛の切り落としは、250グラムから選べる。小分けにされているのは、一人暮らしや少人数の家でも使いやすいためだ。冷凍庫に常備しておけば、夜遅く帰った日の夕食、あるいは週末の鍋の具として、すぐに手が伸ばせる。

フリーズドライフルーツは、季節の果実を保存食に変えたものだ。生のままでは日持ちしない果物も、水分を抜くことで、常温で長く保つことができる。朝のヨーグルトに混ぜたり、子どものおやつにしたり、あるいは紅茶に浮かべたり。家の食べ方に応じて、少しずつ使える。
土地の記憶を食べる
阿見町の返礼品は、派手さより実用性を重視している。それは、この町の歴史と無関係ではない。戦後、焼け野原から始まった開拓。その時代を生きた人たちが、毎日の食卓に何を求めたか。おそらく、確かな品質と、無駄のない使い方だったはずだ。
今、その町から届く米や肉やフルーツは、その開拓の精神を引き継いでいる。派手な謳い文句ではなく、毎日の食卓に着地する品ばかりだ。寄付して返礼品を受け取ることは、その町の土地と歴史を、自分の台所に迎え入れることでもある。
